大学間連携共同教育推進事業
平成24年度文部科学省採択

海事分野における
高専・産業界連携による
人材育成システムの開発

- 平成26年度報告 -

3年間の活動をまとめて

富山高等専門学校日本船主協会
鳥羽商船高等専門学校全日本船舶職員協会
広島商船高等専門学校全日本海員組合
大島商船高等専門学校国際船員労務協会
弓削商船高等専門学校





目次
海事人材育成プロジェクトの概要
1. 新たな海事技術者に必要な資質の涵養
1.1 英語力(コミュニケーション力)向上プログラムの開発
1.2 グローバル人材(外地駐在意欲)育成のための国際インターンシップの展開
2. 新たな海事技術者に不可欠な知識・技能の育成
2.1 機関系、航海系及び共通教科教材の開発、教材の電子書籍化の推進
2.2 大型練習船(海上履歴対応)の共同利用などの新しい航海実習の提案
3. 新たな海事技術者を確実に継続的に育成し得る高質な海事教育システム
3.1 新しき時代に活躍できる海事技術者像と具備すべき知識・技能の提示
3.2 確実な海事教育システムの提示
4. 連携機関から
5. 第2回高専・海事教育フォーラム
6. 取組の3年間の軌跡

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「海事分野における高専・産業界連携による人材育成システムの開発」の概要

(通称:海事人材育成プロジェクト)

「海事分野における高専・産業界連携による人材育成システムの開発(通称:海事人材育成プロジェクト)」は文部科学省の大学間連携共同教育推進事業として平成24年度に採択された5年間の教育改善事業である。

背景

四面を海で囲まれた日本にとって、海運は重要な輸送手段であり、海上輸送は産業の生命線とも言われている。平成19年の海洋基本法の公布を受け、平成20年には海洋基本計画も政府から提言され、安全で安定した海上輸送の確保には海運を担う人材が不足している現況を打破することが急務であり、質の高い海事技術者(船員)の効率的育成の重要性が強く指摘されている。また、近年の海上輸送における技術的変革により、海事技術者(船員)の資格に直接影響を及ぼす国際条約であるSTCW条約(船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約)が改正され、ECDIS(電子海図表示情報装置)やヒューマン・リソース・マネージメント(Bridge Resource Management:船橋におけるチームワーク)の導入なども含むものとなり、海上輸送のグローバル化と技術革新の進展が海事技術者として具備すべき能力を大きく変貌させている。

重要であるが対応できないでいる人材育成課題を抱えている海運界において、国土交通省、海運会社、海事関連団体、海事教育機関などの海事分野における産官学が「社会ニーズに応えうる優秀な海事技術者の育成のあり方」について検討を行ない、平成243月に、「船員(海技者)の確保・育成に関する検討会報告」をまとめ、新たな海事技術者に必要な資質と知識・技能に基づく海事教育内容の見直し、並びに、海運業界と連携した海事教育の推進などが提言された。

この報告では海運業界が求める海事技術者の要件としてグローバル化に対応した資質技術革新に対応した知識・技能が求められるとともに、海事分野のステークホルダーとの人材育成上の連携強化が指摘されている。

概要

海事技術者(船員)を育成する高等専門学校・商船学科などの海事教育機関は、前述の政策と産業界から、質の高い人材を育成し得る教育システムに変革することが求められており、特に、改正された国際条約への対応は喫緊の課題となっている。

本事業は、右図に示すように、上述の報告にある海事分野の方針に従って、商船学科を有する五つの高等専門学校と海事分野のステークホルダーである海事関連団体の日本船主協会、全日本船舶職員協会、全日本海員組合、国際船員労務協会がひとつのチームを構成し、グローバル化に対応した“1. 新たな海事技術者に必要な資質の涵養”と技術革新に対応した“2. 新たな海事技術者に不可欠な知識・技能の育成”に取組み、海運業界が求める時代に適応できる「柔軟で高度な海事技術者」の継続的かつ確実な育成を目指し、海事教育機関である高専・商船学科として必要となる“3. 新たな海事技術者を確実に継続的に育成し得る質の高い海事教育システム”の実現を試みるものである。

具体的には、平成2428年度の5年間において、次記する3種サブプロジェクトを企画・実施し、新たな海事人材を育成し得る質の高い教育システムの開発に取り組み、その成果を海運界、他海事教育機関や他高専に広く紹介するものである。

海事人材育成プロジェクトの概念図

プロジェクトを構成する3種サブプロジェクト

1. 新たな海事技術者に必要な資質の涵養(総括:鳥羽)

新たな海事技術者に必要な資質として基本的なコミュニケーション能力、基礎的な英語力、外地駐在への意欲等が求められている。

鳥羽商船高専と広島商船高専が担当校となって、5高専・商船学科が船主協会、全船協、全日海、国船協と協働して、これらの資質を身に付け、グローバルな活躍が期待される英語のできる高専・商船学科生の育成法の確立を目指す。

1.1 英語力向上プログラムの開発(担当:鳥羽)

新たな海事技術者の資質として求められる基本的なコミュニケーション能力、基礎的な英語力の育成を試みるものであり、15才から20才の高専・商船学科生に対してTOEICスコア:500程度をゴールとする英語教育プログラムの構築を目指す。

1.2 国際インターンシップの展開(担当:広島)

新たな海事技術者の資質として求められる基礎的な英語力、外地駐在への意欲の育成を目指し、18才の高専・商船学科・4年生に対して有効で適切な国際インターンシップの展開を試みるものである。5高専では国際インターンシップを実施・企画しており、商船学科・学生に適したプログラムへの改善、単位化などを行ない、参加者の向上につなげ、定着させることを目指す。

2. 新たな海事技術者に不可欠な知識・技能の育成(総括:大島)

新たな海事技術者に不可欠な知識・技能として船舶の機関及び操船に関する基礎的な知識・技能、船舶の業務・生活への適応力が求められている。

大島商船高専と弓削商船高専が担当校となって、5高専・商船学科が船主協会、全船協、全日海、国船協と協働して、これらの知識・技能を身に付けた、船舶の業務・生活に適応できる高度な知識・技能を有する海事技術者の育成への改善を目指す。

2.1 教科教材の開発、電子書籍化の推進(担当:大島)

15才から20才の高専・商船学科学生に適合した教材の不足が指摘されている。新たな海事技術者に求められている船舶の機関及び操船に関する基礎的な知識・技能を、15才から20才の高専・商船学科学生に確実に教授するために必要な教材の開発、教材の電子化などの海事教育の学習環境の改善を目指す。

2.2 新しい航海実習の提案(担当:弓削)

高専・商船学科では航海実習として校内練習船実習と1年間の大型練習船実習(独立行政法人・航海訓練所に委託)が実施されている。新たな海事技術者に不可欠な知識・技能として求められる船舶の業務・生活への適応力の育成システムの改善を目指し、これらの航海実習について高専・商船学科における教育の高度化、効率向上の視点から検討し、5高専による大型練習船の共同利用を含む新しい航海実習の提案を試みる。

3. 新たな海事技術者を確実に継続的に育成し得る質の高い海事教育システム(総括:富山)

新たな海事技術者に必要な資質、不可欠な知識・技能として基本的なコミュニケーション能力、基礎的な英語力と外地駐在への意欲、船舶の機関及び操船に関する基礎的な知識・技能と船舶の業務・生活への適応力が求められているが、15才で入学し、20才で卒業する高専・商船学科においてこれらの資質、知識・技能を確実に育成するカリキュラム等の新たな海事教育システムは検討、開発されていない。

富山高専が担当校となって、5高専・商船学科が船主協会、全船協、全日海、国船協と協働して、求められている人材である「柔軟で高度な海事技術者」を確実に継続的に育成し得る協働教育システムの確立を目指す。

3.1海事技術者像と具備すべき知識・技能の提示(担当:富山)

求められている人材と具備すべき知識・技能、資質について、高専・商船学科の視点から、再度検討し、諸国及び日本の海事社会の人材現況について調査・解析し、海事社会の人材ニーズと高専・商船学科が育成すべき人材との整合を試みる。

3.2 確実な海事教育システムの提示(担当:富山)

高専・商船学科教員自らが海事社会における実学の現況を現地調査し、求められている人材と具備すべき知識・技能、資質を把握するとともに、前述の調査・解析に基づき、高専・商船学科が求められている人材を確実に育成し得る海事教育システム、商船学科コアカリキュラム等の開発を目指す。

(文責:富山高等専門学校,遠藤 真)


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1. 新たな海事技術者に必要な資質の涵養

- 3年間の活動概要 –

目的

平成243月「船員(海技者)の確保・育成に関する検討会報告」において、新たな海事技術者に必要な資質として基本的なコミュニケーション能力、基礎的な英語力、外地駐在への意欲等が指摘されている。これらの資質を身に付け、グローバルな活躍が期待される英語のできる高専・商船学科生の育成法の確立を目指す。

概要

1.英語力(コミュニケーション力)向上プログラムの開発

新たな海事技術者の資質として求められる基本的なコミュニケーション能力、基礎的な英語力の育成を目指し、①グローバル教育拠点を利用した教育補助員による英語教育、②英語表記教材・教科書の開発、③教員の英語外地研修を実施する。

2.グローバル人材(外地駐在意欲)育成のための国際インターンシップの展開

新たな海事技術者の資質として求められる基礎的な英語力、外地駐在への意欲の育成を目指し、海外機関における国際インターンシップの有効性と改善点を検証し、実施する。

得られた成果

1.グローバル教育拠点利用状況

各校独自のプログラムを開発しているが、英語力向上の必要性を学生(特に低学年)に理解させ、積極的に取り組む習慣を身に付けさせるかが大きな課題である。

2. TOEICスコアについて

 4年生のスコアについて検証しているところであるが、順調に上昇している学校もあり、そうした学校のプログラムを参考にして、今後、他校のプログラムを改善していく予定である。

3.専門教材の開発・英訳

 マリタイムカレッジシリーズの「船舶の管理と運用」を英語に完訳し、電子化した。「SURFING ENGLISH」を平成24年度に、「NAVIGATION ENGLISH (SURFING ENGLISHⅡ)」を平成26年度末に刊行した。

4.教員英語外地研修

 平成2526年度で16名を派遣し、全員がプログラムをこなし、帰国前の英語によるプレゼンテーションを実施するなど、成果を得ているとともに、研修後のTOEICスコアも上昇した。

英語力向上サブプログラムの概念図

5.国際インターンシップの展開

 連携機関による視察を実施し、KCC国際インターンシップには2年間で19名の学生が参加した。参加した学生の多くは、大手海運会社に就職したり、大学・専攻科に進学するなど、その活躍がめざましい。また、平成26年度からはフィリピンAMACUへの派遣も開始した。

6MAAP英語教員による海事英語セミナー

弓削が中心に事業展開しており、昨年度は弓削・大島で、今年度は弓削・広島・大島でプログラムを実施し、学生でだけでなく教員も研修を受ける機会を得ている。

(文責:鳥羽商船高等専門学校,石田 邦光)


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1.1 英語力(コミュニケーション力)向上プログラムの開発

- 平成24年度から3年間の実績 -

目的

本サブプロジェクトは、新たな海事技術者としての資質に求められている基本的なコミュニケーション能力、基礎的な英語力の育成を試みるものである。

このため、15才から20才の高専・商船学科生に対して、卒業時におけるTOEICスコア500以上を目指し、連携機関と協働して新たな英語教育プログラムを開発し、その構築と展開を目指す。

概要

1.商船学科・教育補助員(特命助教等)による英語教育

 特命助教等の英語教育補助員を配置し、英語教員と連携して、多読・多聴教材の整備や課外英語講座などを開設するなど、新たな英語教育プログラムを検討、開発する。

平成24年度各校の地理的な事情により、補助教員を探すのに苦労したが、概ね英語教育プログラムの検討・開発体制準備を整えた。

平成25年度:年間を通して常勤に近い状況で教員を配置できないという問題を抱えた学校について、これをカバーする方策として、MAAPから教員を招聘し、短期集中型の英語講座を開講する等の試行を開始した。

平成26年度:各校において補助教員の配置に応じた週間プログラムを作成し、初心者(中学校入門)から上級者(TOEIC対策)までの各種プログラムを設定するとともに、学生ができるだけ補助教員を活用できる仕組みを模索した。

2.商船学科におけるグローバル教育拠点の整備

 商船学科に英語教育プログラムを展開するための拠点教室を整備し、英語教育を含むグローバル教育を積極的に進める。

平成24年度:拠点とする部屋(教室)を確保し、拠点の有効活用及びプログラムの展開に必要な教材の整備に向けて準備を進めた。

平成25年度:各校を視察し、拠点とする部屋(教室)・補助教員が整備されたことを確認した。その結果、拠点の利用率をいかに向上させるか、また、各校のカリキュラム上の英語教育との連携を図る必要性があることが分かった。

平成26年度:補助教員から学生個々にあった指導を受けることができる拠点として機能させるとともに、補助教員が不在でも自学自習できる英語学習環境と整えた。

3.英語表記の商船学科・専門教材・教科書の開発

 商船学科の専門科目における英語力育成支援を目指して、英和併記の専門教材を連携機関と協働で開発する。

平成24年度:マリタイムカレッジシリーズを中心に業者委託での翻訳を進めることとし、第1段として「船舶の管理と運用」を選定した。また、同シリーズから、Surfing Englishを刊行した。

平成25年度:マリタイムカレッジシリーズから刊行予定の「船の電機システム」について一部を英語翻訳した。また、Surfing English Ⅱの開発企画に着手した。

平成26年度Navigation English (Surfing English Ⅱ)を平成273月に刊行した。

4.商船学科専門教員の英語外地研修

 商船学科の専門科目における英語の利用促進、英語による授業展開を目指して、商船学科・専門教員の英語外地研修を実施する。

平成24年度:ハワイのKCC(Kauai Community College)での夏季休暇中(9月)における3週間程度の研修を次年度から開始するプログラムを企画し、年度末までにKCCと協議することにした。

平成25年度9月に16日間のKCC英語研修を実施した。5校で参加教員は8名で、英語研修だけでなく異文化交流も考慮された充実した内容の研修となった。

平成26年度:前年の実績を踏まえて5月に事前準備会議を実施し、9月に14日間の英語研修を実施した。5校で参加教員は8名で、前年度よりも英語学習を強化した研修となった。

得られた成果

商船学科教育補助員の配置とグローバル教育拠点利用

富山2名、鳥羽1名、広島4名、大島1名、弓削2名の補助教員を配置し、以下のようなプログラムを展開してきた。学生のTOEICスコアの推移につては、順調にアップしてきた学校もあるが、停滞している学校もある。本年度は、大型練習船実習の乗船時期変更の移行期にあり、鳥羽が4年生の前期に、富山・広島が4年生の後期に6ヶ月の実習が組まれた。また、各校ともにTOEICスコアの検証として、年度内でも出来るだけ遅い日程でのTOEIC受験を設定していることもあり、平成26年度における検証は年度末となった。

専門教材の開発・英訳

マリタイムカレッジシリーズの「船舶の管理と運用」を英語に完訳し、電子化した。また、同シリーズで刊行された「電子機器の基礎」について一部英語に翻訳した。

SURFING ENGLISH」を20132月に刊行した。この本では、内容のコンセプトが十分に伝わらなかったこともあり、以下のコンセプトを十分に考慮して企画し、「NAVIGATION ENGLISH (SURFING ENGLISH Ⅱ」を20153月に刊行した。

・ 現場で必要とされる英語でのコミュニケーション能力を身に付ける。

・ 必要とされる英語でのコミュニケーションのための学習の「コツ」や勉強法を紹介する。

・ 学生の進路/仕事/キャリアと英語コミュニケーションをつなぐことを第一の役割と位置づける。

教員英語外地研修

 2年間で商船学科教員16名をKCCに派遣し、2週間程度の英語による発進力強化を中心とした研修は、参加教員にとって非常に有効であった。その成果は以下の通りである。

KCCでの研修は高専にはない教育環境を体感するとともに、アクティブラーニングの概念が自然と授業に導入されていることを知った。

・ 参加教員個々が自己の英語能力を把握でき、日常英会話についてはスキルアップできた。

・ 専門分野での英語によるプレゼンテーション能力(発表・質疑応答)がある程度身についた。

・ 授業において、学生に英語力を付けさせるエッセンスやこつを身につけた。

外国人講師による英会話教室 グローバル拠点の利用風景
見学ツアー 授業風景 プレゼンテーション風景
KCC教員英語海外研修

(文責:鳥羽商船高等専門学校,石田 邦光)


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1.2グロ-バル人材(外地駐在意欲)育成のための国際インターンシッブの展開

- 平成24年度から3年間の実績 –

目的

本サブプロジェクトは、新たな海事技術者の資質として求められる基礎的な英語力、陸上勤務や外地駐在に対する意欲の涵養を目指し、18才の高専・商船学科・4年生に対して適切で効果的な国際インターンシップを連携機関と協働して開発し、その展開を試みるものである。具体的には、5高専で実施しているKCC(ハワイ)とSMA(シンガポール)の国際インターンシップについて、充実と積極的な展開を進める。AMACU& EAC(フィリピン)における国際インターンシップの開講に向けて、連携機関の支援を得て、検討を進める。また、MAAP教員による国際インターンシップ関連の圏内学生研修等も企画、実施する。

概要

1.KCC国際インターンシップ

 ハワイのKCC(カウアイコミュニティカレッジ)において、伝統的外洋航海カヌーの建造や航海計器を使わない古来の航海技術を学ぶことにより、人間が本来備えている自然を読み取る力や感じる力を引き出し、近代航海術への理解を深める一助とする。また、地元の学生とともに学ぶことでハワイの風土と歴史を学び、異文化交流を含めたコミュニケーション能力を身につける。

・連携機関と5校で視察(2013318日~22日)を行った。外洋航海型カヌー(Namahoe)建造の作業、航海計器を使わない伝統古代航海術についてKCCの学生と一緒に受けている授業、英語の授業などを視察した。インターンシップの目的を達成するために最適な生活・学習環境が整っていることが確認される一方、参加学生の積極的なコミュニケーションを促す仕組みが必要であるとの指摘があった。

・参加状況

2013310日~27日学生11名(3年生10名、4年生1名)、引率教員6

201438日~26日学生8名(3年生6名、4年生2名)、引率教員7

201537日~26日学生11名(3年生11名、4年生0名)、引率教員6

2.SMAインターンシップ(MELキャンプ)

SPSingapore Polytechnic)にあるSMASingapore Maritime Academy)が主催するMELMaritime Experimental Leaning)キャンプといわれるプログラムで、民間船社所有の客船"SuperStar Virgo"に乗船して行なう34日の研修である。一般客も乗船している客船を使って、異文化理解と英語によるコミュニケーション能力を養う。研修の多くは講義形式で、その内容は、船の種類など初歩的なことから、海運経済まで様々である。MELクルーズには、SMAの学生を始めとして、連携大学の学生を含め100名ほどの学生が参加している。

・連携機関と5校で視察(2013925日~103日)を行った。英語を学習しようとするモチベーションの向上に寄与することが期待されるとの評価を得たが、語学研修や日本の海運会社のシンガポール拠点や研修施設見学等もプログラムに入れた方が良いとの指摘があった。

・参加状況

 2013925日~103日のキャンプには学生5名(全員鳥羽の3年生)、引率教員2名を派遣した。2014917日~25日の研修内容には新たにSPにおける語学研修を組み込んだが、参加学生は鳥羽の4名のみで、それ以外の学校からの参加者はなかった。

3.AMA英語研修

当初フィリピンのMAAP(Maritime Academy of Asia and the Pacific)で視察を実施する計画であったが、20133月における視察の結果、インターンシッププログラムに軍事演習がありインターンシップ先として適切でないと判断した。このため20143月にフィリピンAMACU(AMA Computer University)及びEAC(Emilio Aguinaldo College)2大学を視察した。エミリオアギナルド大学 (EAC)では、多くの国から学生が語学の学習に参加しており、外航船内で使う英語という意味では非常に良い環境である。また、フィリピン人船員が多いことを考えても、船員のための英語教育には大変良い環境である。AMACU(AMA Computer University)での模擬授業は、発音練習を主としたものであったが、海事英語に関するカリキュラムは出来上がっているようであり、高専生向けの航海系、機関系に分けての授業実施も可能とのことであった。

これらの視察から、商船系への対応を考えるとAMACU大学での2週間程度のインターンシップが良いと判断し、平成26年度実施計画:201538日(日)~321日(土)学生8名引率教員1名を派遣した。

4.MAAP教員による英語研修

MAAPから、平成25年度は2名の海事英語講師を迎えて、弓削と大島で教員向け海事英語指導法セミナー、学生向け海事英語セミナー等を実施した。また、本年度も2名の講師を迎えて、弓削・広島・大島にて同様のプログラムを実施した。

平成25年度:2013115日~15日 弓削 2014224日~28日 大島

平成26年度:20141110日~16日 弓削 同1117日~23日 大島 1124日~28日 広島

得られた成果

 それぞれのインターンシップについて少しずつ特徴を出し始めているが、問題点も見られる。当該インターンシップに参加したくても経済的な理由で参加できない学生がいる。もう少し参加費用が低価格であれば、参加者が増えるのではないかと考える。次に引率教員への負担の問題がある。インターンシップ参加期間の国内の職務、待遇・評価改善、メリット(引率を1週間、後に英語研修に参加できるなど)を考えるべきである。また、今後、参加人数が増えた際には現地スタッフの増員も必要と思われるため、人材育成や学内体制の整備も必要である等である。また、帰国後、参加学生による報告会(学内)を学校によっては実施しているところもあるが、GI-net等のWeb会議システムによる報告会を実施し、5校での情報共有が図られれば、参加者が増えるものと考える。

MELCampの"SuperStar Virgo" MEL Camp講義風景 AMA授業風景
AMA 機関向け授業 MAAP講師によるグループ学習 MAAP講師による講演会

(文責:広島商船高等専門学校,大山 博史)


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2. 新たな海事技術者に不可欠な知識・技能の育成

- 3年間の活動概要 -

目的

  日本の海事教育においては教科書等の教材不足が課題となっており、特に、15才から20才の高専・商船学科学生に適合した教材の不足は強く指摘されている。そこで、高専・商船学科の学生に確実に教授するために必要な教材の開発、教材の電子化などの海事教育の学習環境の改善を目指す。

また、本テーマに重要に関わる大型練習船教育によっての船舶の業務・生活への適応力の育成システムの改善を目指し、大型練習船(海上履歴対応)の教育の高度化、効率向上の視点から検討し、提案を試みることを目的としている

概要

・教材の開発、教材の電子化について:

5高専・教員が高専・商船学科の学生に適合する質の高い教科書を開発するとともに、
  継続的に改善システムの構築も試みる。

② 教材の電子書籍化の推進:海事教育においては教室外の学習機会が多い。この航海実習等における
  教科書等の活用や教室授業との連携の不足が指摘されている。
  開発した教科書等の電子化を進める。

・大型練習船(海上履歴対応)の教育の高度化、効率向上について:

① 大型練習船(海上履歴対応)の試設計、共同利用のフィジビリティスタディ

② 共同利用大型練習船による航海実習等の教育効果の検討

をそれぞれ行う。

得られた成果

【教材の開発、教材の電子化】

次に示す書籍写真は、以前プロジェクトで刊行した3冊、本プロジェクトで既に刊行した4冊で

ある。また、これらすべてについて電子書籍化した。また、今後、書籍として7冊を刊行する計

画である。

【大型練習船(海上履歴対応)の教育の高度化、効率向上】

・平成24年度:「諸外国海上履歴及び練習船実習の現状調査」で、韓国を含む諸外国のSTCW条約で求められている三級海技士免許取得のための海上履歴を付与し、かつ、船員養成を行っている教育・訓練機関の練習船及び練習船実習の現状等について調査を行った。

・平成25年度:「国内練習船の建造費、運航費等の現状調査」で、モデルとした各練習船の建造費や運航費等、あるいは実習内容等を調査した。

・平成26年度:次世代校内練習船モデルについて、その教育理念や履歴付与の必要性や可能性、航海訓練所大型練習船との役割分担等について検討を加え、当該モデルを共同利用した場合のスケジュール等について案を例示した。     

刊行した書籍

(文責:大島商船高等専門学校,岩崎 寛希)


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2.1 機関系、航海系及び共通教科教材の開発、教材の電子書籍化の推進

- 平成24年度から3年間の実績 -

目的

日本の海事教育においては教科書等の教材不足が課題となっており、特に、15才から20才の高専・商船学科学生に適合した教材の不足は強く指摘されている。そこで、新たな海事技術者に不可欠な知識・技能として求められる船舶の機関及び操船に関する基礎的な知識・技能を、15才から20才の高専・商船学科の学生に確実に教授するために必要な教材の開発、教材の電子化などの海事教育の学習環境の改善を目指す。

① 機関系、航海系及び共通教科教材の開発

 5高専・教員が高専・商船学科の学生に適合する質の高い教科書等を開発するとともに、継続的に改善するシステムの構築も試みる。

② 教材の電子書籍化の推進

 海事教育においては航海実習等の校外学習機会が多いが、この航海実習等における教科書等の活用、教室における教科学習との連携の不足が指摘されている。5高専・教員、出版社の協力を得て、教科書等の電子化を進める。

概要

機関系、航海系及び共通教科教材の開発を進めてきた。さらに、新たな教材についても検討と企画など積極的に着手した。そうして、これまでのプロジェクトで4冊、本プロジェクトで3冊、執筆中の教科書が7冊と着実に書籍となっている。また、出版化した7冊は、その教科書の電子書籍化を行い、教室のみならず実習現場で閲覧できるよう、商船系5高専に配布し,教育現場で活用している。

得られた成果

従来、五つの商船系高専の同じ分野の教員等は、地理的な距離、予算的な制約もあり、それぞれ独自に教材は造り、分担しながら共同で教科書を編纂することはなかった。今回、機関系、航海系、共通科目系とそれぞれ同分野の若い教員から老練な教員までが顔を合わせ、15歳から20歳までの学生に何を、どの順に、どう教えるのか、入念に目次案の議論を重ねた。基礎的・普遍的な単元に始まり、新しい計器やシステム、ソフトリテラシィーなども項目に加え、執筆分担を決め、書きぶりを調整しながら刊行に至るという体験を初めて経験した。

和英並列表記の電子教材

さらに、机上ではなく、高専教育の特徴と言える実験・実習の現場で、教科書を見開きながらはやりにくい実態を改善する方策として、作成した教科書をすべて電子化した。それらのコンテンツは特定の端末だけでなく、OSの違いを考慮して、IPad系、アンドロイド系、ウインドウズ系とほとんどのスマートフォン、タブレットで閲覧できるようした。なお、そのうち1冊は左図のように、サブプロジェクト1と共同で、和英並列表記となる電子教材を試作した。

次に示す教科書一覧は、以前プロジェクトで刊行した3冊(ピンク)、本プロジェクトで既に刊行した4冊(茶色)、今後書籍として刊行する予定の7冊の内容を要約している。

電子化を含めこれまでに刊行された書籍と今後の開発予定

(文責:大島商船高等専門学校,岩崎 寛希)


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2.2 大型練習船(海上履歴対応)の共同利用などの新しい航海実習の提案

- 平成24年度から3年間の実績 -

目的

本サブプロジェクトは、「海事分野における高専・産業界連携による人材育成システムの開発」を行うにあたって、「新たな海事技術者に不可欠な知識・技能の育成」に重要に関わっている大型練習船教育に視点をおき、新たな海事技術者に不可欠な知識・技能として求められる船舶の業務・生活への適応力の育成システムの改善を目指し、大型練習船(海上履歴対応)の教育の高度化、効率向上の視点から検討し、提案を試みることを目的としている。

上記目的達成の具体的手段として、以下の二点を思考材料として検討を行っている。

① 大型練習船(海上履歴対応)の試設計、共同利用のフィジビリティスタディ

② 共同利用大型練習船による航海実習等の教育効果の検討

概要

平成24年度から平成26年度に行った本サブプロジェクトの概要を以下に示す。

平成24年度

平成24年度は、上記の検討のための基礎データを収集するために、韓国を含む諸外国のSTCW条約で求められている三級海技士免許取得のための海上履歴を付与し、かつ、船員養成を行っている教育・訓練機関の練習船及び練習船実習の現状調査を行い、併せて平成25年度以降の本サブプロジェクトについて作業の方向性を確認、検討していくために「航海実習検討サブプロジェクト」会議を開催した。

平成25年度

平成25年度は、上記の検討のための参考となるデータを収集するために、海上履歴に対応している国内の教育・訓練機関の大型練習船(一部参考のため海上履歴は対応していない中、小型練習船も含む)及び練習船実習や練習船の建造費、運航費等についての現状調査を行い、併せて、5000トン、3000トン、1600トンの3つの練習船モデルを設定し、当該モデルを利用した場合の実習評価し比較検討を行うための調査を委託すると共に、当該委託調査事業の内容や、平成26年度の本サブプロジェクトについて作業の方向性を確認、検討していくために「航海実習検討サブプロジェクト」会議を開催した。

平成26年度

平成26年度は、大幅な予算削減があり委託調査はできなくなった。そのため、これまでの収集データに基づき、次世代校内練習船モデルについて、その効果的、効率的な活用法について検討を加え、当該モデルを利用した場合の実習について検討を行い、平成27年度の本サブプロジェクトについて作業の方向性を確認、検討していくために「航海実習検討サブプロジェクト」会議を開催した。

得られた成果

平成24年度

平成24年度は委託事業「諸外国海上履歴及び練習船実習の現状調査」及び「航海実習検討サブプロジェクト会議」の両案件とも実施し、韓国を含む諸外国のSTCW条約で求められている三級海技士免許取得のための海上履歴を付与し、かつ、船員養成を行っている教育・訓練機関の練習船及び練習船実習の現状等について参考となるデータを得ることができ、平成25年度の本サブプロジェクトの検討の方向性についての基礎資料を整えることができた。

参考

○委託調査事業

 諸外国海上履歴及び練習船実習の現状調査については、()Class NK コンサルティングサービスに委託し、ヨーロッパ地域(インド、トルコ、クロアチア、アメリカ、ロシア、ポーランド、南アフリカなど)及びアジア地域(韓国、中国、台湾、シンガポール、ベトナムなど)を対象とし、調査を行った。

○検討会議

 平成25年2月12日に「航海実習検討サブプロジェクト会議」を大阪市で開催した。

平成25年度

平成25年度は委託事業「国内練習船の建造費、運航費等の現状調査」等及び「航海実習検討サブプロジェクト会議」の両案件とも実施し、モデルとした各練習船の建造費や運航費等、あるいは実習内容等について参考となるデータを得ることができ、平成26年度の本サブプロジェクトの検討の方向性についての基礎資料を整えることができた。

参考

○委託調査事業

 国内練習船の建造費・運航費等及び実習内容等の現状調査は、(株)Class NK コンサルティングサービスに委託し、総トン数1000トン以上の練習船(一部総トン数1000トン未満の練習船も含む)について、大型船、中型船、小型船にわけ、主要目、一般配置図、建造価格、運航費、船費、定期検査費用、乗組員表、係留施設、陸上支援員、実習内容等について調査を行った。

○検討会議

 平成25年6月4日に「航海実習検討サブプロジェクト会議」を大阪市で開催した。

平成26年度

平成26年度は、これまでの収集データに基づき、次世代校内練習船モデルについて、その教育理念や履歴付与の必要性や可能性、航海訓練所大型練習船との役割分担等について検討を加え、当該モデルを共同利用した場合のスケジュール等について案を例示し、平成27年度の本サブプロジェクトについて作業の方向性を確認、検討していくために「航海実習検討サブプロジェクト」会議を開催した。

参考

○検討会議

 平成26年6月30日に第1回「航海実習検討サブプロジェクト会議」を大阪市で開催した。

 平成26年10月20日に第2回「航海実習検討サブプロジェクト会議」(TV会議)を各校会議室でWEBテレビ会議システムを用いて開催した。

 平成26年度は調査委託経費がなくなったので、初回の会合で検討の方向性について議論し、その後はメール審議やTV会議システムを利用して、議事を進めた。

 検討の中では、平成25年度から導入された大型練習船分割実習方式なども考慮し、次世代の校内練習船についての教育理念や履歴付与の必要性・可能性、大型練習船と次世代校内練習船との役割分担など意見交換し、併せていくつかの拘束条件を設定し、次世代校内練習船の共同運航を前提とした実習のモジュール化を取り入れたスケジュール案についても策定してみた。

(文責:弓削商船高等専門学校,多田 光男)


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3. 新たな海事技術者を確実に継続的に育成し得る高質な海事教育システム

- 3年間の活動概要 -

目的

新たな海事技術者に必要な資質として基本的なコミュニケーション能力、基礎的な英語力、外地駐在への意欲が、不可欠な知識・技能として船舶の機関及び操船に関する基礎的な知識・技能、船舶の業務・生活への適応力が指摘されたが、15才で入学し、20才で卒業する高専・商船学科において前述の資質、知識・技能を確実に育成するカリキュラム等の新たな海事教育システムは検討、開発されていない。

そこで、海事社会の求める人材である「柔軟で高度な海事技術者」を確実に継続的に育成し得る協働教育システムの確立を目指すものである。

概要

3.1 新しき時代に活躍できる海事技術者像と具備すべき知識・技能の提示

海事社会が求める人材と具備すべき知識・技能、資質について、高専・商船学科の視点から、再度検討し、諸国及び日本の海事社会の人材現況について調査・解析し、海事社会の人材ニーズと高専・商船学科が育成すべき人材との整合を試みるものであり、以下の3項目を実施することを計画している。

① 先進諸国、アジア諸国船員の育成・就業実態調査

② 日本人海事技術者のライフサイクル調査

10/20年後に活躍できる海事技術者像と具備すべき知識・技能

3.2 確実な海事教育システムの提示

高専・商船学科教員自らが海事社会における実学の現況を視察調査し、求められる人材と具備すべき知識・技能、資質を把握するとともに、前述の調査・解析に基づく高専・商船学科が育成すべき人材を確実に育成し得る質の保証される海事教育システム、商船学科コアカリキュラム等の開発を目指すものであり、以下の2項目を実施することを計画している。

① 船舶運航、船舶管理、港湾・流通業務等の視察調査

② 確実な海事教育システムの要件

得られた成果

平成24年度から3年間に実施した事業と得られた成果の概要は以下の通りである。

3.1 新しき時代に活躍できる海事技術者像と具備すべき知識・技能の提示”について

3.2 確実な海事教育システムの提示”について

上記知見に基づき、次年度から10/20年後に活躍する海事技術者像とその育成システムについて検討を開始する計画である。

(文責:富山高等専門学校,遠藤 真)


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3.1 新しき時代に活躍できる海事技術者像と具備すべき知識・技能の提示

- 平成24年度から3年間の実績 -

目的

3. 新たな海事技術者を確実に継続的に育成し得る海事教育システム”の開発・実現の一環として、海事社会が求める「柔軟で高度な海事技術者」(新しい時代に活躍できる海事技術者像)及び海事技術者が具備すべき知識・技能、資質について、高専・商船学科の視点から再度検討し、諸国及び日本の海事社会の人材現況について調査・解析し、海事社会の人材ニーズと高専・商船学科が育成すべき人材との整合を試みるものである。

概要

前述の目的を達成するために次記する具体的な3項目の事業を年度計画に従って実施している。

(1)先進諸国、アジア諸国船員の育成・就業実態調査

(2)日本人海事技術者のライフサイクル調査

(3)10年ないし20年後に活躍できる海事技術者像と具備すべき知識・技能

平成24年度

「先進諸国船員の育成・就業実態調査」を行ない、次記する幾つかの知見等が得られた。

平成25年度

「アジア諸国船員の育成・就業実態調査」を行ない、次記する幾つかの知見等が得られた。

また、平成2425年度の調査をまとめ、右頁に示す「先進諸国及びアジア諸国船員の育成・就業実態調査報告」を印刷し、五校の商船学科・一般教養の全教員と4連携機関に配布した。

平成26年度


先進諸国及びアジア諸国船員
の育成・就業実態調査報告書

全船協並びに各校同窓会の協力を得て、次記する内容の高専卒業者を対象とした“日本人海事技術者のライフサイクルに関するアンケート調査”を実施し、20304050代からなる90名のアンケートが回収された。

1. 日本人海事技術者のライフサイクルの現状調査

(1)基本情報,(2)学歴,(3)勤務経歴,(4)研修経歴,(5)概略年収,(6)現職満足度,(7)10年後のキャリア

高専商船学科卒業者について、どのように学んだか?、どのような職場に就職したか?、どのようなキャリアを経たか?、どのような職位で働いているか?、これからのキャリアプランは?等を調査し、現状を整理・把握する。

2. 10/20年後に活躍できる海事技術者に求められる知識・技能の調査

(8)現職分野の将来性,(9)教育経歴の現職への寄与度,(10)商船高専教育の現職への寄与度,(11)商船高専教育で強化すべき教育内容,(12)商船高専卒業者の現職分野への適合性,(13)10/20年後の海事技術者像に関する自由記述

高専商船学科卒業者の現職について、現職に寄与した教育経歴は?、現職に寄与した商船学科教育項目は?、これからの海事技術者に必要な知識・技能は?、これからの商船学科教育で強化すべき項目は?等を調査し、これからの海事技術者を育成するための商船学科教育の要件等を考え、整理する。

アンケート集計結果の一部の例を以下に示すが、“現職に満足している割合が7割程度”、“現職にやりがいを感じている方も7割程度”、“6割程度の方が後輩に現職を勧めるとしている”等々、興味深い傾向が抽出された。アンケート集計結果についての解析と検討を進め、平成273月に「日本人海事技術者のライフサイクルに関するアンケート調査報告」としてまとめ、印刷・配布した。

次年度から“10年ないし20年後に活躍できる海事技術者像と具備すべき知識・技能”の検討を、「先進諸国及びアジア諸国船員の育成・就業実態調査報告」と「日本人海事技術者のライフサイクルに関するアンケート調査報告」に基づき、開始する計画である

日本人海事技術者のライフサイクルに関するアンケート集計グラフの例

(文責:富山高等専門学校,遠藤 真)


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3.2 確実な海事教育システムの提示

- 平成24年度から3年間の実績 -

目的

3. 新たな海事技術者を確実に継続的に育成し得る海事教育システム”の開発・実現の一環として、高専・商船学科教員自らが海事社会における実学の現況を視察調査し、求められる人材と具備すべき知識・技能、資質を把握するとともに、高専・商船学科が育成すべき人材を確実に育成し得る質の保証される海事教育システム、商船学科コアカリキュラム等の開発を目指すものである。

概要

前述の目的を達成するために次記する具体的な項目の事業を年度計画に従って実施している。

(1) 船舶運航、船舶管理、港湾・流通業務等の視察調査

(2) 確実な海事教育システムの要件

平成24年度

「船舶運航、船舶管理、港湾・流通業務等の視察調査」として、商船学科教員に不足している船舶・海運に関する実務を学び、体験する研修を船主協会の協力を得て検討し、下記2種類の研修(FD)を企画し、平成25年度からの実施に向け、準備した。

1. 高専教員の船舶運航実務乗船研修

高専教員が7~8月に2/3週間の期間、外航船舶に乗組み、船舶運航実務を視察・経験する。

2. 高専教員の船舶管理と港湾・物流業務に関する研修

高専教員が12日程度の船舶管理と港湾・物流業務に関する講義・見学を受講する。

平成25年度

平成24年度に企画・検討した「船舶運航、船舶管理、港湾・流通業務等の視察調査」としての2種類の研修(FD)を、初めて実施した。

1. 高専教員の船舶運航実務乗船研修

船主協会のコーディネート、並びに、日本郵船、商船三井、川崎汽船の3社のご協力を得て、船舶運航実務乗船研修を下記の通り実施し、報告会も開催した。

1.1 乗船研修

時期: 夏季(7月~8) 場所: 運航中の外航商船(コンテナ船、LNG船)

期間: 2/3週間    参加者: 4連携校:各校1名 計4

内容: 外航商船に乗船し、船舶運航実務を視察・体験した。

1.2 報告会

日時・場所: 1226() 16:30~17:30 ・ 砂防会館

参加者: 29 海事人材育成プロジェクト運営委員会委員、船社研修担当者等

2. 高専教員の船舶管理と港湾・物流業務に関する研修

船主協会のコーディネート、並びに、関係船社のご協力を得て、船舶管理と港湾・物流業務に関する研修(講義、見学)を下記の通り実施した。

日時: 1216()17() 海運ビル等    参加者: 5連携校:各校2/3名 計14

内容: 16() 「海運業、港湾・物流業に関する講義」(船主協会・田中部長他3)

17() 「船舶管理業務視察(KLSM)」、「コンテナ業務視察(NYTT)」

平成26年度

「船舶運航、船舶管理、港湾・流通業務等の視察調査」としての2種類の研修(FD)を、平成25年度と同様に、実施した。

1. 高専教員の船舶運航実務乗船研修

船主協会のコーディネート、並びに、日本郵船、商船三井、飯野海運、JXオーシャン、NSユナイテッド海運の5社のご協力を得て、平成26年度の船舶運航実務乗船研修を下記の通り実施し、報告会も開催した。

1.1 乗船研修

時期: 夏季(7月~8)   場所: 運航中の外航商船(コンテナ船、LNG船、バルクキャリア)

期間: 2~4週間    参加者: 5連携校:各校1名 計5

内容: 外航商船に乗船し、船舶運航実務を視察・体験した。

1.2 報告会

日時・場所: 1215() 16:15~17:15 ・ 海運クラブ

    参加者: 30名程度    海事人材育成プロジェクト運営委員会委員、船社研修担当者等

2. 高専教員の船舶管理と港湾・物流業務に関する研修

船主協会のコーディネート、並びに、関係船社のご協力を得て、平成26年度の船舶管理と港湾・物流業務に関する研修(講義、見学)を下記の通り実施した。

日時: 219()20() 海運ビル等   参加者: 5連携校:各校2/3名 計17

内容: 1日目 「海運業、船舶業務に関する講義、船社との意見交換会」

2日目 「海運会社の教育施設と研究所の視察」

上記2種研修は実務経験の乏しい高専教員には極めて有意義なものとなり、研修後の授業などで学生に紹介するなどの教育上の成果も生まれている。次年度以降も継続し、より多くの商船学科教員が研修に参加することを期待する。

また、平成27年度から検討を開始する“高専・商船学科が育成すべき人材を確実に育成し得る海事教育システム”についても、これらの研修は有益な知見をもたらすことが予測される。

平成25,26年度の高専教員・船舶運航実務乗船研修の乗船船舶等
平成26年度の高専教員・船舶管理と港湾・物流業務に関する研修

(文責:富山高等専門学校,遠藤 真)


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4. 連携機関から

一般社団法人 日本船主協会

 日本船主協会は、19476月に設立された、わが国の外航・内航海運関連事業者を会員とする事業者団体で、2014121日現在、会員110社で構成、会員各社のニーズを踏まえ、わが国海運業の健全な発展に向けた諸環境整備に対応している。

船員問題関連では、平成20年に人材確保タスクフォース(TF)を設置して優秀な日本人船員(海技者)確保のために商船系高専を含む船員教育機関と密に連携して、様々な活動を展開している。

本プロジェクトとの連携状況・要望等

1.KCCならびにSMA国際インターンシップ視察に参加

KCC(ハワイ)のプログラムは、単なる英語学習ではなく、ハワイならではの異文化経験を盛り込んでおり、とてもよく工夫されていると感じました。

SMA(シンガポール客船を利用)は、同様のプログラムを受け入れている他の学校も参加しており、学生たちの相互交流の効果が高いと感じました。

今後も各高専がさらに連携できるようなプログラムを取り入れ、他国の教育機関等と相互交流を図っていくことが有効であり、その経験により学生の意識が高まり、さらには質の高い海事技術者の育成につながるものと期待しています。

2.教員対象「船舶運航実務研修」「船舶管理会社及びコンテナターミナル視察調査」等へ協力

当協会の会員会社にコンテナターミナルや船舶管理会社をご紹介いただき、上記研修、調査に協力しました。今後も海運の現場・実務について教師から学生に対して有効なフィードバックが図られるような機会の提供について対応していきたいと考えています。

弊協会としては引き続き連携機関として取り組ませていただきます。

一般社団法人 日本船主協会

一般社団法人 全日本船舶職員協会

当協会は、昭和初期、地方商船学校(商船高等専門学校の前身)の劣悪な練習船環境による遭難事故が相次ぎ、鹿児島商船学校の練習帆船「霧島丸」での全員行方不明となる遭難事件を機に、地方商船学校11校の出身者が、大型帆船練習船建造を求めて運動し、昭和5年練習帆船「日本丸」「海王丸」の建造を実現しました。これを契機に昭和5年4月11日「全国商船学校十一会」を結成し、これが今日の協会の始まりです。

基本事業の一つに商船教育に関する調査研究と海事技術者後継者への支援があり、商船高専振興協議会を設置・運営し、国立高専(商船学科)の教育を支援している。具体的には

現代GP、高専機構・特別教育研究経費事業に連携機関として参加し、各事業を支援するとともにキャリアガイダンス教科書「船しごと、海しごと」などの教材を開発している。

平成24年からスタートした海事人材育成プロジェクトにも連携機関として参加し、現場経験者の目線から事業運営等を支援している。

本プロジェクトとの連携状況・要望等

本プロジェクトは社会ニーズ(グローバル化に対応した資質、技術革新に対応した知識・技能、ステークホルダーとの連携強化)に応え得る優秀な海事技術者の効率的・効果的な育成のあり方に基づいてスタートし、手ごたえを感じる内容である。

1.海事技術者としての資質の涵養(コミュニケーション能力と英語力の向上、陸上勤務や外地駐在への意欲)連携機関としての視察、評価、示唆等に協力。

2.海事技術者としての知識・技能の育成(船舶の機関及び操船の技術と知識、船舶の業務と生活への適応力)連携機関として教材の開発及び支援、出前講座の検討等に協力。

3.海事技術者の高質な教育システムの開発を目指し、先進諸国、アジア諸国船員の育成・就業実態調査や日本人海事技術者のライフサイクル調査を取進めており、連携機関として調査に協力。

本プロジェクトには当協会も複数の理事を参加させて支援し、今までにない成果等の期待を寄せており、多くの若き優秀な海事技術者が日本海運界に羽ばたくことを希望している。

他方、このプロジェクトを取進めざる得ない背景の一要因として、昭和62年に取られた外航海運業界の緊急雇用対策及び長期に亘る商船高専卒業生の不採用の影響も考えられ、今後において教育(学)と海運企業(産)及び海事関連団体との信頼・協力関係をお互いに築き上げる必要があると感じる次第である。

一般社団法人 全日本船舶職員協会 専務理事 及川 武司

全日本海員組合

全日本海員組合は、国際(外航)や国内の海運・旅客船事業、水産や港湾の海事産業で働く船員と、それらの分野で働く船員以外の労働者で組織する産業別単一労働組合。現在、日本人組合員が約3万人、非居住特別組合員(フィリピン国などの外国人船員)約5万人が加入。本組合は組合員の雇用安定、待遇改善と権利擁護・社会的地位の向上を第一とする労働組合主義の立場を堅持し、また船員の後継者確保・育成にも力を入れている。

本プロジェクトとの連携状況・要望等

国際船員労務協会との共同プロジェクトである船員教育機関への進学の促進を目的とした広報活動『J-CREWプロジェクト ~やっぱり海が好き~』においては、今年度の活動の柱として1年間で100日間全国をまわる「100日キャラバン」を実施してきた。人の集まる地域に出向き草の根的に啓蒙活動を行うことをコンセプトに、船員教育機関所在地域(富山、三重、広島、東京、神戸など)の祭事へのブース出展などを重ね、1026日をもって目標としていた100日およびパンフレット3万枚の配布を達成した。その他、8月にはお台場・船の科学館を会場に音楽イベント「UMI-POP’14」を開催し、商船系高等専門学校および商船系大学の教員・学生の協力を受け船員教育機関PRブースを展開し、各校の認知拡大に努めた。また、間近に進学を控えた層以外でも、園児・小学生などの低年齢層に対し海や船を身近に感じてもらうような情報発信を行っている。

全日本海員組合

国際船員労務協会

国際船員労務協会は、日本海運の船舶に乗り組む外国人船員の労働条件等について、ITF(国際運輸労連)及びJSU(全日本海員組合)と労使交渉を行うことを最も重要な任務とする船員を雇用する会社が組織する団体である。また、当該労使交渉に於いて合意された基金を用いて船員の教育訓練に関わる活動も実施している。

本プロジェクトとの連携状況・要望等

業界が求める存在は「即戦力」であり、「学問」の成績優秀者では無い。しかしながら、高専側の企画は学生に対して「学問」の成績を向上させることを目的としたものが中心となっており、「職業訓練」の充実に付いてはあまり考えられていない。商船学校で職業訓練を行わないのは日本以外の主な船員供給国では聞いたことが無く、このグローバルスタンダードとのズレが、日本人船員の減少に拍車を掛けている一因であることに、日本国政府をはじめ各船員教育機関には一日も早く自覚して戴き、文科省と国交省の垣根を越えた教育訓練制度の実現を希望する。

資源が乏しい日本国は略全ての原材料を諸外国から輸入しなければ国民の生活は衣食住の全てに於いて成り立たず、その輸入される物資の99.7%に船舶が用いられている。よって、経済安全保障の観点からも外航日本人船員を相当数確保しなければならないことは明白であり、海洋基本法にも定められている。すなわち、外航日本人船員数の拡充は国民の利益に直結するものであり、重要な国策として取り上げられて然るべきである。当該プロジェクトを更に拡充して戴き、日本国の外航船員養成の仕組み全体について、相応の税金を用いた抜本的な制度改革を希望したい。

国際船員労務協会 事務局次長 姥 裕彰


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5. 2回高専・海事教育フォーラム

平成261216日(火), 東京・海運クラブにおいて, 「第2回高専・海事教育フォーラム」を開催した。このフォーラムは,本事業において, 平成24年度から平成26年度までの3年間の事業中間報告と, 今後の本事業の展開,実施予定計画について多くの海事関連団体, 海事関連企業, 海事教育機関等に広く周知することを目的として開催した。

フォーラムには国土交通省, 文部科学省, 独立行政法人国立高等専門学校機構をはじめ,商船学科を有する5高専(富山, 鳥羽, 広島, 大島, 弓削), 海事関連団体, 海事関連企業,海事教育機関等から計157名が参加した。

フォーラムは下記次第に従って、独立行政法人国立高等専門学校機構 理事 上月正博氏, 国土交通省海事局海技課船員教育室長 阪本敏章氏, 文部科学省高等教育局専門教育課長 牛尾則文氏の挨拶の後,各事業のプロジェクト担当者からの報告,一般社団法人日本船主協会 海務部長 田中俊弘氏,一般社団法人全日本船舶職員協会 会長 岩田仁氏,全日本海員組合 国際局外航部 土屋文平氏,国際船員労務協会 常務理事・事務局長 井上登志仁氏の発表が行われた。

また,質疑応答では会場からも多くの質問があり,活発な意見交換が行われ,大変有意義なフォーラムとなった。海事人材育成プロジェクトは平成28年度までの5年間のプロジェクトであり,今回のフォーラムを通して得た意見やネットワークを活かし,今後増々発展させていくことが期待されている。

2回 高専・海事教育フォーラム 「海事人材育成プロジェクト」報告次第

・開会                         富山高等専門学校 石原校長

・挨拶                         国立高等専門学校機構 上月理事

・挨拶                         国土交通省 阪本船員教育室長

・挨拶                         文部科学省 牛尾専門教育課長

1. 海事人材育成プロジェクトの概要           富山高等専門学校 遠藤教授

2. 海事人材育成プロジェクトの進捗状況

2.1 英語力の向上                    鳥羽商船高等専門学校 石田教授 他

2.2 知識・技能の育成                  大島商船高等専門学校 岩崎教授 他

2.3 質の高い海事教育システム              富山高等専門学校 山本教授 他

3. 連携機関の視点から

3.1 商船教育への期待                 日本船主協会 田中部長

3.2海事教育充実に向けて                全日本船舶職員協会 岩田会長

3.3 船員教育機関への進学を推奨する広報活動

J-CREWプロジェクト~やっぱり海が好き~』   全日本海員組合 土屋先任事務職員

3.4日本商船隊に乗組む外国人船員の現状と国船協の役割  国際船員労務協会 井上常務理事

・閉会                          鳥羽商船高等専門学校 藤田校長

開会、各挨拶、各講演と閉会、並びに、会場風景等のフォーラム関連写真を次頁に示すとともに、当日、参加者を対象に実施した本フォーラムに関するアンケート結果、ご意見・コメントを整理して後掲する。

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開会: 富山高専

石原校長

挨拶: 高専機構

上月理事

挨拶: 国土交通省

阪本船員教育室長

挨拶: 文部科学省

牛尾専門教育課長

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講演: 富山高専

遠藤教授

講演: 鳥羽商船高専

石田教授

講演: 大島商船高専

岩崎教授

講演: 富山高専

山本教授

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講演: 船主協会

田中海務部長

講演: 全船協

岩田会長

講演: 全日海

土屋先任事務職員

講演: 国船協

井上常務理事・事務局長

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閉会: 鳥羽商船高専

藤田校長

 

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会場前でのポスター、成果物の展示

フォーラム会場

 


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フォーラムに関するアンケート結果

海事人材育成プロジェクトの今後についての意見とコメント(抜粋)

  • 前回よりも実際にプロジェクトが進んで分かりやすい内容でした。

  • 前回フォーラムから、いろいろな点で具体的な進展・成果が見られ、関係者の方々の努力の賜と思います。まずは、教員の方々の再教育・レベルアップに寄与しているようですので、今後、学生のレベルアップにつなげられることを期待します。

  • 大いに期待する。特に海技免状の受験率、合格率UP。第1回フォーラムより第2回フォーラムの内容が充実している。

  • これからの船員教育の内容について、具体的によく分かった。今後、本プロジェクトで示された内容を具体的にどのような体制で実施するのか、また、学校教育の成果(目標)を達成するのか、outcomeの数値化と評価を検討していただきたい。人・物・財の視点から。

  • 中間地点を過ぎ、これまで取組んできたプロジェクトを全てそのまま継続していくのか、或いは取捨選択を行い、いくつかのプロジェクトに集中し、投入する資金も増やし、規模は絞りながらもよりよい成果を求めるのか、議論の余地があるのでは。

  • 現在のプロジェクトを継続推進して頂きたい。商船5校にバラツキがあるが、足並みをそろえて頂きたい

  • 定期的に報告会を実施すべき。フォーラム形式にこだわらず、次年度も何らかの形で活動報告をすべき。

  • 各校・連携機関が垣根を越え、一致団結し将来の商船高専のあり方を検討し、実行・実施して欲しい。

  • 諸々の採用活動が奏効し、5高専向け採用数が増加している。あとは鍛え、教育するのみ!高専らしくユニークで具体的な施策を今後もご展開いただきたい。

  • プロジェクト期間が終わっても確実に残る教科書・教材等を作られたことはすばらしい。最近は、旧商船大系の先生達も、学生向けの新しい教科書を全く出版されませんので。

  • 教員の社船実習の取組において、外航だけでなく、内航の大型フェリー、セメント専用船の活用も検討してみる必要があると考える。就職実態としても半分は内航船社であり、運用方法も特別なものがあります。

  • 外航教育の需要性からみると、内航教育分野はどのように考えているのか。

  • 海事人材育成プロジェクトの目指す内容はすばらしく、多岐に亘っているが一方、そんな全人格的、多能力の人材が本当に養成できるのか。出来れば素晴らしい!いくつかの内容に、焦点を合わせるべき。

  • 学校の現状調査を把握して、どういった育成教育が必要で、学校が必要な教育及び養成しようとしているのかは解ったが、学生がこの事を理解し、思うように学び、卒業させることができるか疑問である。

  • 最終的にどのように結論付けていくのか、興味深い。一般の大学生(一年生)と比較して高専の学生の英語レベルがどの程度の位置にあるのか、調査等を行っていれば、結果を知りたい。

(文責:富山高等専門学校,遠藤 真)


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6. 取組の3年間の軌跡

平成24年度の取組

プロジェクト初年度である平成24年度に次記事業項目を実施した。

  1. 平成241029日(東京) 第1回の企画委員会と運営委員会を開催した。

  2. 本事業担当の事務補佐員を各校に配置した。

  3. 商船学科・英語力向上プログラムを担う商船学科・英語教育補助員を各校に配置した。


    KCC国際インターンシップ視察

    第1回高専・海事教育フォーラム
  4. 商船学科・英語力向上プログラムで活用するグローバル教育拠点を、各校で企画・整備した。

  5. 商船学科・英語力向上プログラムの一環として活用する英語表記の商船学科・専門教材/教科書を企画・立案し、開発を始めた。

  6. 商船学科・機関系、航海系及び共通教科教材を企画・立案し、開発を始めた。

  7. 商船学科の教材/教科書の電子書籍化を企画し、電子書籍化を開始した。

  8. 電子書籍化教材/教科書の配信システムとリーダーについて検討し、配信システム(サーバーと無線LAN)を整備し、リーダーの整備を開始した。

  9. 韓国等の諸外国の海上履歴取得を含む練習船実習の現状を調査した。

  10. 先進諸国船員の育成・就業実態について調査し、まとめた。

  11. 商船学科・専門教員の英語外地研修を企画・立案した。

  12. 船舶運航、船舶管理、港湾・流通業務等の視察プログラムを企画・立案した。

  13. 平成2412月 本取組の紹介パンフレットを作成・配布した。

  14. 平成252月 本取組の公式ホームページを開設した。

http://tms-com.net/mpt-pro/index.html

  1. 平成2527日(東京) 第2回の企画委員会と運営委員会を開催した。


    SMA国際インターンシップ視察
  2. 平成2528日(東京) 第1回高専・海事教育フォーラムを開催した。

  3. 平成2534日(東京) 評価委員会を開催した。

  4. 平成253月 商船学科・国際インターンシップの充実のためにMAAP(フィリピン)を訪問し、KCC(ハワイ)で実施されている国際インターンシップを視察した。

  5. 平成253月 平成24年度事業報告を作成・配布した。

平成25年度の取組

平成25年度に次記事業項目を実施した。

  1. 平成2563日(鳥羽) 第1回の企画委員会と運営委員会を開催した。

  2. 本事業担当の事務補佐員を各校に配置した。

  3. 商船学科・英語力向上プログラムを担う商船学科・英語教育補助員を各校に配置した。

  4. 商船学科・英語力向上プログラムで活用するグローバル教育拠点を各校で企画・整備し、各校の整備状況を視察した。

  5. 商船学科・英語力向上プログラムの一環として活用する英語表記の商船学科・専門教材/教科書を企画し、開発を進めた。

  6. 商船学科・国際インターンシップの開講し、SMAで実施されている国際インターンシップを視察した。

  7. 商船学科・機関系、航海系及び共通教科教材を企画し、開発を進めた。

  8. 商船学科の教材/教科書の電子書籍化を企画し、電子書籍化を進めた。

  9. 大型練習船等を試設計し、活用法について検討した。

  10. アジア諸国船員の育成・就業実態について調査し、2年間の調査をまとめ、印刷・配布した。

  11. 平成257~8月 商船学科・専門教員の船舶運航実務乗船研修を実施した。

  12. 平成258月 高専機構主催の全国高専教育フォーラム(豊橋)に参加し、発表した。

  13. 平成259月 商船学科・専門教員の英語外地研修(ハワイ・KCC)を実施した。



    船舶運航実務乗船研修の
    乗船船舶の例
  14. 平成25121617日 商船学科・専門教員の船舶管理と港湾・物流業務に関する研修を実施した。

  15. 本取組の公式ホームページを更新した。

  16. 平成251226日(東京) 第2回の企画委員会と運営委員会を開催した。

  17. 平成2627日(東京) 評価委員会と第3回企画委員会を開催した。

  18. 平成263月 平成25年度事業報告を作成・配布した。

平成26年度の取組

平成26年度に次記事業項目を実施した。

  1. 平成26613日(広島) 第1回の企画委員会と運営委員会を開催した。

  2. 事業担当の事務補佐員を各校に配置した。



    開発した教科書等の例
  3. 商船学科・英語力向上プログラムの一環として活用する英語表記の商船学科・専門教材/教科書を企画し、開発を進めた。

  4. 商船学科・英語力向上プログラムを担う商船学科・英語教育補助員を各校に配置した。

  5. 商船学科・国際インターンシップ等の開講及び開発支援を行った。

  6. 商船学科・機関系、航海系及び共通教科教材を企画し、開発を進めた。

  7. 商船学科の教材/教科書の電子書籍化を企画し、電子書籍化を進めた。

  8. 平成267~8月 商船学科・専門教員の船舶運航実務乗船研修を実施した。

  9. 平成268月 高専機構主催の全国高専教育フォーラム(金沢)に参加し、発表した。

  10. 平成269月 商船学科・専門教員の英語外地研修(ハワイ・KCC)を実施した。

  11. 試設計した大型練習船等の活用法について検討した。

  12. 日本人船員のライフサイクルについてアンケート調査を行った。解析結果をまとめ、印刷・配布した。

  13. 本取組の公式ホームページを更新した。

  14. 平成261215日(東京) 第2回の企画委員会と運営委員会を開催した。

  15. 平成261216日(東京) 第2回高専・海事教育フォーラムを開催した。

  16. 平成272月(東京) 商船学科・専門教員の船舶管理と港湾・物流業務に関する研修(12日)を実施した。

  17. 平成272月(東京) 評価委員会と第3回企画委員会を開催した。

  18. 平成273月 平成26年度事業報告を作成・配布した。

(文責:富山高等専門学校,遠藤 真)


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