第3回 高専・海事教育フォーラム
平成29年2月10日(金), 東京・海運クラブにおいて, 「第3回高専・海事教育フォーラム」を開催した。このフォーラムは, 平成24年度に文部科学省に採択された大学間連携共同教育推進事業:「海事分野における高専・産業界連携による人材育成システムの開発」(略称:海事人材育成プロジェクト)において, 平成24年度から事業最終年度である平成28年度までの5年間の事業報告と成果, 今後の本事業の展開について多くの海事関連団体, 海事関連企業, 海事教育機関等に広く周知することを目的として開催したものである。
国土交通省, 文部科学省, 独立行政法人国立高等専門学校機構をはじめ,商船学科を有する5高専(富山高専, 鳥羽商船高専, 広島商船高専, 大島商船高専, 弓削商船高専), 海事関連団体, 海事関連企業,海事教育機関等から計162名が参加した。
フォーラムでは独立行政法人国立高等専門学校機構理事長 谷口 功 氏, 国土交通省海事局海技・振興課船員教育室長 村松 智司 氏, 文部科学省高等教育局専門教育課企画官 福島 崇 氏の挨拶の後,各事業のプロジェクト担当者からの報告,本事業の4連携機関(日本船主協会,全日本船舶職員協会,全日本海員組合,国際船員労務協会)から本事業に5年間参画した感想と今後の期待についてコメントがあった。また,活発な質疑応答や意見交換も行われ,大変有意義なフォーラムとなった。
海事人材育成プロジェクトは平成28年度で終了することとなるが,5年間の事業期間及び今回のフォーラムを通して得た意見やネットワークを活かし,今後益々持続発展させていくことが期待される。
第3回 高専・海事教育フォーラム 「海事人材育成プロジェクト」報告次第
・開会 | 富山高等専門学校 石原校長 |
・挨拶 | 国立高等専門学校機構 谷口理事長 |
・挨拶 | 国土交通省海技・振興課 村松船員教育室長 |
・挨拶 | 文部科学省専門教育課 福島企画官 |
1. 「海事人材育成プロジェクト」の概要 | 富山高等専門学校 山本教授 |
2. 各サブ・プロジェクトの報告 |
2.1 英語力の向上 | 鳥羽商船高等専門学校 石田教授 他 |
2.2 知識・技能の育成 | 大島商船高等専門学校 岩崎教授 他 |
2.3 質の高い海事教育システム | 富山高等専門学校 山本教授 他 |
3. 「海事人材育成プロジェクト」に参画して | 連携機関 |
| 日本船主協会 田中常務理事 |
| 全日本船舶職員協会 及川専務理事 |
| 全日本海員組合 土屋執行部員 |
| 国際船員労務協会 井上常務理事 |
・今後の事業展開について | 富山高等専門学校 山本教授 |
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・閉会 | 弓削商船高等専門学校 木村校長 |
開会挨拶:富山高専 石原校長
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国立高等専門学校機構 谷口理事長
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国土交通省海技・振興課 村松船員教育室長
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文部科学省専門教育課 福島企画官
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プロジェクトの概要:富山高専 山本教授
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鳥羽商船高専 石田教授
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大島商船高専 本木助教
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広島商船高専 大山教授
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大島商船高専 岩崎教授
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弓削商船高専 村上教授
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鳥羽商船高専 窪田教授
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弓削商船高専 池田助教
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富山高専 山田助教
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日本船主協会 田中常務理事
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全日本船舶職員協会 及川専務理事
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全日本海員組合 土屋執行部員
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国際船員労務協会 井上常務理事・事務局長
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今後の事業展開について:富山高専 山本教授
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閉会挨拶:弓削商船高専 木村校長
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会場の様子
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海事人材育成プロジェクトの報告、今後の事業展開の内容関するアンケート結果
海事人材育成プロジェクトの今後についての意見とコメント(抜粋)
- 教材のみならず、本日発表された資料はよくわかりやすかったのでWeb上などで公開しておいてほしい。
- 本日のご発表を拝聴し、大きな成果が得られていることがよく分かりました。当該プロジェクトの継続を強く望みます。当該プロジェクトをもっと広く一般へ周知する必要があるのでは。国家予算を確保する意味から。
- 各商船高専の教える側(教授、教員)が取り組んでいる姿勢が良く判った。あとは学生側の奮起が気になる。すべてよかった。教授等の実務勉強をもっと進めて下さい。
- 「コミュニケーション」について「英語力」のみならず、一般的なもの、例えば「発信力」、「傾聴力」等も教育の重要な一部として取り入れていただければと思います。企業が最も重要と考えている事項です。
- 学校だけで完結するのではなく、取り巻く環境とのGAP ANALYSISがなされ、その上でどうある(する)べきかを、論ぜられ全校で共有されている印象を受けました。是非、今後につなげて行って欲しいです。フォーラムもテンポよく自然に理解出来ました。やって来た方々がしっかりとした意思があるからだと思います。
- 特に、教科教材の開発、電子書籍の推進については素晴らしい成果であると考えています。広く社会に普及していただければと思います。
- 小・中学生に海事関係の学校及び業務に興味がもてるように、アピール活動をし、優秀な人材を集めることが大事では!!
- このプロジェクトはまだまだ発展の余地を残した、継続していくべきものであると改めて感じました。予算の確保など課題も少なくないと思いますが、できる限り規模を維持した展開を期待しております。
- 海事教育機関を卒業し、海技免状を取得し、船員として一生勤め上げたのは昔の話。21世紀の現在、海技免状は海の世界で働くための通行手形のうちの1枚に過ぎないのでは。船員をファーストとし、セカンド、サードキャリアと、職種を変えてスキルアップするのがあたり前のライフサイクルとなっている。セカンドキャリア以降を視野に入れた人材育成プロジェクト、しかも海事技術者教育にとどまらず海洋技術者教育という広い視野を捉えたプロジェクトを今後ご検討いただきたい。
- グローバル化に対応するために、英語力を向上させる取組は必要であるが、航海士及機関士としての基礎となる知識、考え方を学生に植込むことが必要と考えます。(海技者としての自覚)又、乗船すると数か月後には業務につくわけで、プロ意識も必要である。
- キャリアパスを通して「自己効力感」などを感じることができるようになると当該教育の持続性も高まるという研究もあるので、日本にとっての海事とそれに携わる人々の重要性も伝わる教育システムになることを願っています。
- 海事教育フォーラムは、今後、商船系高専のみならず、海上技術学校・短大や、海洋・水産高校、水産大学校における海事人材育成システムも視野に入れたプロジェクトとして継続されるべきであると感じた。
商船学科、あるいは、高等専門学校について、ご意見・ご要望等(抜粋)
- 5つの高専の連携の強さには驚いています。距離があっても5つで協働して、これだけのものが完成するんですね。
- 未来の海事技術者教育にまじめに取り組んでいることが理解できた。機械科系、機関士教育も力を入れてほしい。船舶機関士は不足が予想されている。機関科の学生の外航船社への就職率向上にも努力して下さい。
- 素晴らしい取組みで、学生のレベルアップが期待できると思います。一方で少子化の現在、子供達に「海」や「船」に目を向けてもらうよう広報も重要と考えます。今後とも学生の確保によろしくお願いいたします。
- 海洋大学、海事大学への進学者は、基礎的な学力不足、教養不足が散見されるようです。また、学力ばかりではなく社会人としての人間力を磨く必要性も指摘されます。しかし、熱心にさらに自分を向上させようとする意欲は強く、今後も継続して勉学に意欲的に取り組む海事人材(人財)の育成に期待しています。
- 世の中の少子化の流れの中、高専教育の資質向上もさることながら、海に興味のある優秀な子たちをいかにたくさん確保するかが益々重要な課題となっている。多くの子供そしてその親たちは、海事技術者に対し、典型的な4K産業としてのイメージを持っている。それを払拭するための取り組みが必要。その他、企業等の協力を得て、返還不要の奨学金制度や育成金制度、その他魅力的なインセンティブが与えられないだろうか。
- キャリア教育をより推進いただき、海上就職率を上げていただきたい。校内大型練習船(乗船履歴対応)の実現を期待しています。
- 学科・学校に縮小統合などは教育の低下をまねくので、それを防ぐため各校がしっかりと教育を行い地域に求められる学校になるべき。
- 海技者を提供する教育機関として必要であり、5.5年の期間については検討を要する。
- 現在、日本で進められている海事関連の情報収集・開示のネットワークに練習船を含め参加して頂けることを願っています。
- 基礎学力はもとより、船上で士官として責任感を持って仕事を完遂させるタフさとメンタルの強さを身に付ける教育を取り入れていただきたい。(寮生活、部活動等から)
- 今後の事業展開についてご説明のあった方向性をしっかりと実装し、産業界が求める人材と育成に取り組んでください。
- わが国の戦後の高度成長を支えた工業高専出身の技術者のイメージが強いため、高専の商船学科に求められた卒業生の資質が現在の国際的な船員市場のどの部分を占めるべきなのかが明確にみえてこない。先生方には危機感を持って考えて頂きたい。
- 商船教育を行うブランドとしての「商船学科」と高等教育機関(システム)のうち日本特有とも言えるステータス(グレード)としての「高等専門学校」の今後の在り方については、海洋基本法などと照らし合わせ、省庁や業界、地域の垣根を越えた検討と試行が必要かと思います。
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