Archive for 1 月 26th, 2009

月曜日, 1 月 26th, 2009 | Author: admin

去る1月24日(土)にサンシップ富山601研修室にて行われたイベント、「サテライト型による地域と高専の教育交流事業」並びに学生支援プログラム「高専元気UP!遊―友―YOUプロジェクト」による「プロ棋士の発想と思考に学ぶ」予告はこちら)の実施報告です。

第一部:10:30-12:00
◎議演「コンピューターは名人に勝てるか?」 講師 中村 修 九段
◎質問コーナー

第二部:13:00-15:30
◎中村修九段による多面指導将棋
◎ミニ将棋大会(8人卜ーナメント戦)

本日の司会進行は、萩原学生第一課長が行いました。
講演に先立って、秋元先生がご挨拶されました。「高専の将棋部は強いので、この度の講演は楽しみ」と述べられました。
続いて、高熊教員(将棋部顧問)が講師の略歴を紹介しました。「先生の両親が高岡市戸出のご出身であり、富山にも縁がある」などを話されました。

そしていよいよ講師が登壇しました。
講師は、本日のためにわざわざ解説用の大きな将棋盤を東京から持参されました。
まずは、飛車角の位置が逆になっている盤面を見せ、駒を入れ替えるにはどうすればいいか、わかる? と、簡単なゲームでアイスブレイク。
その後、自己紹介や将棋の魅力などをご講演されました。

中村修九段の自己紹介

私は、世代的には谷川浩二棋士の世代。米長名人の世代と羽生名人の世代の中間。
小学校時代は、遊び道具として自然に将棋があったので、なんとなくルールを覚えていった。やがて将棋道場に通うようになり、大人に勝てる自信を深めていった。
工夫するほど強くなることや、小さな子供でも大人を負かせるのが快感で、将棋にのめりこんだ。

プロを目指すきっかけは1976年。全国大会の第1回中学生名人戦で優勝して、周りに強い人がいなくなった。同年、奨励会に入会した。

将棋の魅力

将棋は、一手一手、責任を持って差さなくては・・・という決断力が必要となる厳しいゲーム。
「自分で負けを認める」というのも、他のゲームや武道にはないところ。礼儀を大切にし、準備から片づけまで棋士自身がやるところも好きだ。
チェスやオセロと違い、持ち駒の再使用ができることがゲームを複雑にしているので、今までコンピュータが人間を負かすことは難しかった。

プロの現実

25歳までに四段にならないと、奨励会を退会させられる。四段になると給料や対局料が入るが、生活は苦しい。
しかし奨励会員は皆、棋士への夢を持ってがんばっている。

新しい世代の台頭

私は六段で棋聖戦を制しタイトルを取って王将になった。そしていわゆる天狗になり、自分が一番という錯覚に陥った。そんな矢先に羽生名人が頭角を現してきた。羽生名人が14連勝の時に初対局し、負けた。米長名人らの世代に取って代わるのは自分たちの世代と思っていたのに、羽生名人らの世代が自分たちを脅かす存在になってきたことを知った。しかしそれは改めて自分にとって将棋とは何かを考えるいい経験になった。

羽生名人の世代から特に変わったのは、将棋が体系化されたこと。彼らは、自分の考え方をオープンにして研究している。自分の手の内を明かすことは相手に付け込む機会を与えることでもあるが、その手に対して相手がどういう手筋で応戦するかの情報を得られる。それにより研究が深まり、知見が広がるプラス面のほうが大きい。
彼らは目先の1勝ではなく、将棋に対する探究心でやっている。見習うべき。

強くなるには

個性のある子が上達していくのを奨励会で見ている。
いわゆる優等生タイプではなく、攻め方に勢いがあるとか、こういう局面になると強いとか、そういう子が伸びる。
個性を見つけ、それを伸ばすのがよいと思う。
年齢は余り関係ない。
アタマの良し悪しや知識・経験よりも、集中力が大事。四段レベルを相手にすると、だいたいの展開を予想できるが、八段ともなると相手は些細な変化も見逃さないので、逆転されることもある。

ネット対局について

ネット対局が広く行われるようになってから、実戦不足はなくなった。
しかし、終局後の感想戦の大事さは変わらない。終局後に棋士同士の感想を聞いてみると、攻め受け双方の読み筋が全く異なっていることがよくあり、そのたびに新鮮な驚きを得る。これはネット対局では味わえない。

ワンポイント将棋講座

端歩の使い方ひとつで、局面は大きく変わる。
一番大事な駒は、銀。銀を上手に使えるようになると将棋がうまくなる。

コンピューターは名人に勝てるか?

昨年、アマのトップがコンピュータに負けを喫した。
それまでは、コンピュータが人間に勝つなど10年早いと思っていたが、プロが負ける日が来るのは遠くないと感じている。
コンピュータが弱い時代には機械の手としか感じなかったが、強くなってくると彼の手が人間らしい手に見えてくるのが、不思議。
コンピュータに人間が負ける日が来ることは確実。それは悲しいが、一方で両者が切磋琢磨し、将棋の新しい世界、真理が見えてくることに明るさを感じている。

立会人のエピソード

棋戦の立会人をすることがある。
羽生棋士と渡辺棋士の対局で立会人をしたときの「封じ手」を持ってきた。休み時間に自由に見て欲しい。

棋士はデリケート。とある有名棋士が対局した際に、ちょうど立会人をやっていた。相手の扇子の音が原因で、一触即発の雰囲気になった。棋士も人間。外見からはわからないが、勝負中の頭の中は興奮状態。

質問コーナー

Q.先生の棋風は?
A.もともとは攻め将棋を指向していたが、今は受け将棋。受けでも勝てるというのに気づき、それが自分のスタイルとして定着した。でもおかげで「受ける青春」という変なあだ名を付けられた(笑)。

Q.ライバルは誰ですか?
A.青森にいる自分の弟子。中学生の彼は自分の励み。希望や集中力が持続する限り将棋は続けられる。

Q.タイプの女流棋士は?
A.にちゃんねる等に書かれるので言えない(笑)。というのは冗談で、特にタイプはいない。奨励会で面倒を見ている子等はいるが、自分の娘のような気持ちで接している。

Q.勝ちたいときのグッズやジンクスはあるか?
A.千駄ヶ谷に鳩森神社というのがあり、そこにお参りに行くが、いつも勝たせてくれるわけではない。
対戦相手が決まってから当日までの2週間、どうやったら相手に勝てるだろうかを考える。その間に気持ちを高めるために、当然、下着からネクタイまでこだわる。

Q.若い人を育てる上で大切なことは?
A.自信、集中力、持続。あとは上達しようという気持ち。

講演後の感想

将棋部のMくん、Tくん、Tくん、Eくん
「個性」という言葉が印象的だった。
先生のレベルは自分たちよりも遥か上。差がありすぎて感想の言葉がでてこない。
なぜ高専の将棋部が強いかって? チームワークかなあ。あと5年間みっちりやるからかも。先生も言っていたように「持続力」です。
尊敬する棋士は? もちろん中村修先生です。
先生にひとこと:「ありがとうございました」

将棋部のHくん
扇子の話が面白かった。
「目標を持たないと強くなれな」いという話も心に残った。
先生にひとこと:「くだらない質問(タイプの女流棋士)をしてすいません」

将棋部のIさん、Tさん
いい人だった。
私たちは将棋を中1からルールを覚え、今年夏に入部した1年生。先生のおっしゃるとおり個性を大切にして行こうと思った。
先生にひとこと:「がんばって下さい」

一般参加の小学4年生、Yくん
今日は、担任の先生からこのイベントを教えてもらって来た。
2年3学期から将棋を始めた。竜を作るのが楽しい。
尊敬する棋士は羽生名人です。
先生にひとこと:「話はちょっと難しかったけど、楽しかったです」

中村修九段から高専生へのメッセージ

目標を持ってやって欲しい。
優劣が付くのは、「それがどのくらい好きか」による。
好きなものに打ち込んだ結果、勝ち続けると、その力が自分でもわかり、さらに強くなる。
その道の一番で、恐れずに、技術を磨いて欲しい。
「個性」という話をしたが、自分にしか出来ないやり方や発想がきっとあるはず。自分で自分の素質や才能を見つけて伸ばして欲しい。
私が尊敬する棋士は、戦後だと木村先生や原田先生、大山先生・・・他にもいっぱいいます。
高専生も尊敬する人をいっぱい見つけてください。


中村修九段のWikiPediaでの紹介はこちら

フォト・ギャラリー

将棋部は強いので楽しみ

会場の雰囲気

会場の雰囲気

羽生×渡辺の「封じ手」実物

詰め将棋で直前対策

詰め将棋で直前対策

ミニ将棋大会の設営準備

8人トーナメント表

8人トーナメント表

ちびっ子も真剣勝負

ちびっ子も真剣勝負

中村九段による多面指導将棋

中村修九段による多面指導将棋