世界に学び地域に還す,ものづくり環境教育 ?多文化共生・持続的社会の実現に向けた技術者の使命を学ぶための?

富山工業高等専門学校と富山商船高等専門学校は、
2009年10月1日に高度化再編し、富山高等専門学校が誕生しました。

ESDについて

ESDとは

2002年に開催されたヨハネスブルグサミット(持続可能な開発に関する世界首脳会議)において日本政府がNGOと共に行った提案が、第57回国連総会において決議されました。それは、2005年から2014年の10年間を、「国連持続可能な開発のための教育の10年」として、世界中でESDに取り組むというものです。
ESDの国際的リード機関となったユネスコが2005年8月、「ESDの10年国際実施計画(PDF)」を定め、2006年3月には日本政府も「我が国におけるESDの10年実施計画」を発表しました。
現代GP「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」は、このような背景のもとに生まれた、高等教育における教育改革の一環です。私たちは、技術者教育のための高等教育機関として、内外の教育機関、NPO、行政、企業の協力をいただきながら、新しい技術者育成ESD教育プログラムの開発を目指しています。
技術者育成ESDとは

エネルギーや資源の高効率的化に関する先端技術等で日本は世界のトップを走っています。しかし近年,家電製品などではアジア諸国との競合が始まり,省エネ技術力のみならず,様々な文化に対応できるものづくり感覚が必要とされてきています。
世界のものづくり産業へ技術者を送り出す使命を担っている工業高等専門学校において,このような時代に対応する環境教育に大きな期待が寄せられています。しかしながら,これまでの工学系学生への環境教育は,古くは公害問題への対処方法に始まる,いわゆる「問題対処型」とでも呼ぶべき教育方法が一般的でした。これは,現在発生している,または発生しつつある環境問題を解決するための“一人ひとりに既存の技術を教える”教育です。
一方,これからの環境教育には,世界中の誰もが伝統文化を守りながら生活の質を落とさずに環境負荷の少ない生き方ができることを支援するような新しい技術開発の視点が望まれています。そのためには,地球規模で進みつつある環境破壊をさまざまな社会問題を要因とする複合的な問題としてとらえ,世界の多様な文化の人々とともに解決に取り組もうとする態度や姿勢が育成されるものでなければいけません。すなわち,“共に技術を生み出す”教育です。
エネルギーや資源の高効率的化に関する先端技術等で日本は世界のトップを走っています。しかし近年,家電製品などではアジア諸国との競合が始まり,省エネ技術力のみならず,様々な文化に対応できるものづくり感覚が必要とされてきています。
世界のものづくり産業へ技術者を送り出す使命を担っている工業高等専門学校において,このような時代に対応する環境教育に大きな期待が寄せられています。しかしながら,これまでの工学系学生への環境教育は,古くは公害問題への対処方法に始まる,いわゆる「問題対処型」とでも呼ぶべき教育方法が一般的でした。これは,現在発生している,または発生しつつある環境問題を解決するための“一人ひとりに既存の技術を教える”教育です。

従来の教育環境 ESD
対象 個人の態度の変容 社会経済構造とライフスタイルの転換
認識・知識・理解・技能 倫理観・未来志向型・参画
批判的振り返り・行動する力
方法 トップダウン ボトムアップ
結果重視 プロセス重視
量的価値 質的価値
教え込み 学び
管理 育成
一方,これからの環境教育には,世界中の誰もが伝統文化を守りながら生活の質を落とさずに環境負荷の少ない生き方ができることを支援するような新しい技術開発の視点が望まれています。そのためには,地球規模で進みつつある環境破壊をさまざまな社会問題を要因とする複合的な問題としてとらえ,世界の多様な文化の人々とともに解決に取り組もうとする態度や姿勢が育成されるものでなければいけません。すなわち,“共に技術を生み出す”教育です。

技術者育成ESDが目指す力

本取組は,従来型の「問題対処型」から脱却し,学生たちが自ら疑問をもち課題を発見し,生き生きと意欲的・創造的に取り組み,成果を社会に還元できる総合的な力を育成する「問題発見・解決型」と呼べる環境教育です。
本取組が求める成果としての総合的な力は,図1に示すとおり,基本概念をベースに知識と姿勢と態度が学生にバランスよく備わることであり,本取組の教育効果といえます。このような力の育成には,講義型よりも実体験重視型の教育によって15歳の若い心と身体に染み込ませることが効果的であると考えます。

技術者育成ESDが教育的手法

学校教育で行われている学習方法は,指導者から学習者に知識を与える「教授型」が一般的です。これは,課題の選択や学習の進行について指導者が主導権をもつという意味で,教育者が主体で学習者は客体となります。本取組で採用する学習方法は,富山工業高専のPBLや実験実習のグループ学習で実践している「相互学び合い型」を採用し,教育方法のこの工夫によって,「教授型」学習のみでは習得し難い技術者としての総合力(図1)が養われます。
しばしば「相互学び合い型」では,専門知識が充分に習得できないという報告がありますが,富山工業高専における種々の教育研究から次のことがわかってきています。
図2の従来型の学びでは,指導者の専門知識の質と量が充分で知識伝達教授法が熟達していれば,学びは確実に積み上がっていくと考えられていました。しかし,現実には,学生にとって学ぶ意義が見出せないまま記憶力との勝負になってしまい勉強嫌いを増やしています。その結果,教育現場は学ぶべき課題の質と量を下げるような方向に動いてしまっています。
一方,本取組における学生の学びのイメージは図3に示す塗りつぶし式です。この欠点は図3左側のようなスカスカの学びになることが懸念されることです。これを防ぐ方法は,指導者が学生に対して,認知的コーチやメタ認知のコーチとして働きかけ学習支援をすることにあります。教職員がこのようなコーチング能力を習得し発揮すれば,学生は学びに対するモチベーションを高め,意欲を持って,個々に適した質の高い自主学習を始めることが,富山工業高専のPBL授業の実績で明らかになってきています。
富山工業高専では,近年,EU諸国の大学との交流での研鑽や,指導者の指導力を高めるFD活動などに取り組んでおり,また教育法に対する科研費の取得も多いなど教職員の指導力を高める様々な工夫を行っており,そのノウハウの蓄積は他機関にも適応できると考えられます。

図2 学生の学びのイメージIと指導者に必要な力量

図3 学生の学びのイメージIIと指導者に必要な力量

技術者育成ESDで、教育改革に貢献

本取組の教育改革への有効性として,次の3点が挙げられます。
  1. 一機関では不可能な教育を,特色が異なる二つの学校がその強みをお互いに出し合うことによって,時代に即した新しい教育を創り出せるという事例となり得る
  2. 学力低下という学生たちの現実と,社会に適応していくための総合力を育成しなければならない教育現場の現実という,今の日本の高等教育界が抱えるジレンマに対して提案できる教育方法となる可能性を持っている
  3. これからの時代に必要な教職員の指導力を向上させるための研修方法や教育実践を提示できる