世界に学び地域に還す,ものづくり環境教育 〜多文化共生・持続的社会の実現に向けた技術者の使命を学ぶための〜

富山工業高等専門学校と富山商船高等専門学校は、
2009年10月1日に高度化再編し、富山高等専門学校が誕生しました。

第9回ESDセミナー:パーム油のはなし~環境にやさしいってなんだろう~(本郷キャンパス)

日時
平成21年12月9日(水)15:00~16:50
会場
本郷キャンパス オープンラボ2階
参加者
1年生80名(機械工学科・環境材料工学科),教職員5名
講師
荒川共生氏((株)マイチケット)
目的および内容
1. 目的
講師の荒川共生氏/思わず夢中になり立ち上がって議論する

 本GPでは,技術者育成のための環境教育を構築することを目的としている。その教育は,国連やユネスコが進めている「持続可能な開発のための教育(ESD=Education for Sustainable Development)」の流れをくむものであり,世界中の人々が伝統や文化を守りながら,生活の質を落とさずに環境負荷の少ない生き方ができることを支援するような新しい「開発」の視点を学生たちにもたせることである。
 そのためには,地球規模で進みつつある環境破壊を様々な社会問題を要因とする複合的な問題としてとらえ,世界の多様な文化の人々とともに解決に取り組もうとする態度や姿勢が育成されるものでなくてはならない。
 そこで,本セミナーでは,マレーシアの主要産業である「パームオイル」を題材に,ESDの実績が豊富な講師を招きセミナーを開催することで,内容や手法,学生の反応などを,本校における技術者のためのESD構築の参考とした。
2. 内容
 テーマは,「パーム油のはなし~環境にやさしいってなんだろう~」。
 植物から採れる油としては大豆油を抜いて世界で最も多く生産され,バイオエネルギーの原料としても注目されているパーム油が題材であった。講演,映像,グループワークを交えて,様々な視点から工業製品をみつめる姿勢の大切さを学生に気づかせてくれた。
 マスコミからの情報を鵜呑みにせずクリティカルな視点で捉え正しい情報を求める姿勢や,消費者としての視点だけではなく原料生産から廃棄に至るまで関わる人々の様々な立場の視点をもつこと,持続可能な社会をつくるために私たち一人ひとりの果たす役割が大きいことなどを,大変わかりやすく考えさせていただいた。
 セミナー後に,残って講師に質問する学生も多くみられ,また,寄せられた感想から,「世界で起こっているできごとの見方」を身につけることの重要性や「今,自分がすべきこと」について考えたという記述が多かった。
 講演,映像に,グループワークを組み込むことによって,世界的課題を自分の生活と関連させて感じ,より深く考えることができたようであった。
学生の感想
学生配布用資料

学生の感想より抜粋
  • 普段,自分たちが気づきにくい世界の問題と切っても切れないつながりが少なくとも私たちにもあり,そのことを真剣に考えていくこと,将来自分たちが企業の一員として社会とつながり,いずれ世界へとつながっていくことになるので,これ以外の問題にも対応できるエンジニアになれるよう努力していこうと思いました。
  • 僕は,国際的な円卓会議の「悪者探しでなく関係者の間で合意を作る」という考え方に賛成しました。僕はこの考え方がこれからの世界で必要だと思います。悪者を探し排除することは直接的な解決につながらず,他のすべての関係者とどのように協力すれば解決できるのか関係性を知り,調整していくことが大切だと思いました。・・・
  • 自分の目に映る物事を単純にとらえてはいけないということを学びました。最後に先生がおっしゃっていた「まず気づき,自分とのかかわりを知り,学び,行動に移すことが大事」を自分の教訓として心に残したいと思います。
  • 中学校で一度聞いた内容でしたが,今回は,グループになって考える体験があり,楽しかったです。
  • 自分が良いと思っていたことでも,違う視点から考えることで見方が変わり,いろいろな問題が見えたので,これからも,いろいろな視点で見るようにしたいと思いました。
  • 私がパーム油(やその問題点)を知らなくても,実際にはなくては生活できないと思うと恐ろしく思いました。これからは自分の身の回りの物にもっと関心を持ちたいです。
  • 本当に衝撃を受けました。パーム油が私の生活にここまで関わっていたこと・・・(中略)・・・16年間何気なく生活してきて何も知りませんでした。怖いのはこの事実を知っている人が少なく,私たちが何も知らずにいることで,どんどんゆっくりと確実にいろいろな被害が大きくなっていることです。まず知って自分にできることを考えます。さっそくサラヤさん(洗剤メーカー)のHPを見てみます。
  • CMだけを見ると環境に良いイメージしかないけれど,それにだまされてはいけないと思いました。パーム油と同じような現状の製品はたくさんあると思うので,生産から廃棄までの全体を考えることがとても大切なことだと思いました。
  • たったひとつの問題を解決するのにも,それに関わる全ての立場の人々が協力し,問題に取り組む必要があることがわかった。
2009.12.9