世界に学び地域に還す,ものづくり環境教育 〜多文化共生・持続的社会の実現に向けた技術者の使命を学ぶための〜

富山工業高等専門学校と富山商船高等専門学校は、
2009年10月1日に高度化再編し、富山高等専門学校が誕生しました。

第8回ESDセミナー:理工系学生のための分かりやすい技術英文テクニカル・ライティングセミナー

日時
平成21年11月13日(火)10:40~18:30
会場
本郷キャンパス 専攻科教室およびオープンラボ2階
参加者
専攻科2年生15名(本郷13・射水2)・教職員5名
講師
徳田皇毅氏(日本工業英語協会専任講師)
目的および内容
1. 目的
 理工系学生は研究者の道に進むにせよ,技術者として企業に就職するにせよ,技術英文を書く機会が多いが,いかなるタイプの英文技術ドキュメントにも共通している英語表現,考え方などが多くある。本セミナーでは,これらのドキュメントを作成する際に共通する「これだけは押えておきたい」と言われている英文法,構文,表現などに特に着目し,技術英文ライティング力を身につけることを目標とする。
2. 内容
セッション1の講義風景

アブストラクトを書いてみる

セッション1[基礎文法](10:45-12:30)
 英文(特に技術英文,技術論文)を書く時に必要になる文法,構文(文型の選び方),文章構成時の考え方,単語の選び方,表現方法を,様々な重要構文が入った短文(1~2文)を10文程度英訳する形で学んだ。
セッション2[和文英訳演習](13:15-15:00)
 セッション1の学習を生かし,レベルアップした日本文の英訳演習をその場で行った。指名された学生が白版に解答し,講師が添削しながら,類義語の区別や無生物を主語とした能動態の単文で書く方法など,技術英文特有の具体的な表現方法を学んだ。
セッション3[プレゼン・アブストラクトの英語ライティング演習](15:10-17:30)
 火星探査機(Future Mars aircraft inspires spy plane-Pentagon latches onto idea first floated by NASA engineers)に関する700語程度の英文を読み,アブストラクトの作成演習を行った。前セッション同様,2名の学生が,自分が作成したアブストラクトを電子黒板に書き,講師がそれを添削指導しながら,解説を加えた。
[プレゼンの質疑応答演習]
 長文の内容理解ができたところで,講師が英語で質問をし,参加者が英語で答える練習を行い,プレゼンテーションの質疑応答セッションのシミュレーションを行った。
 「自分の言葉で説明すること」の難しさや大切さを体験することで,普段から,英語を使って表現する訓練の必要性が認識できた。
セッション4[教員向け講義](17:35-18:30)
 学生の質問が相次ぎ,教員向けの時間が大幅に短縮された。技術英文の場合は,正確な英文を書く能力と口頭で伝える能力の両方が必要であり,系統的に学び,少しずつ積み上げていく訓練が必要であることが強調された。
3. 総括
 時間に余裕のある時期とはいえ,参加学生は,6時間以上にわたる授業に,真面目に取り組んでいた。講師も感心しておられ,集中講義ではなく,普段から少しずつ取り組めるようなカリキュラムがあれば,さらに効果的であるという助言を受けた。どのような形で実現していくかは今後の課題であろうが,このような講義やセミナーを是非継続して実施できればと思う。
 セミナーを通じ,参加学生は,「英語は熾烈な技術競争を生き抜くための必須能力である」ということが強く認識されたであろう。また,英語教師には,「未来の技術者や研究者の生き残りを助ける」という強い使命感をもって教育に当たるべきであることを認識する機会となった。本GPのテーマである「世界に学び地域に還す」ためには,それぞれが具体的に何を為すべきかを考える糸口が与えられたように思う。
受講した学生の感想
「テクニカル・ライティングセミナーを受講して」
機械・電気システム工学専攻2年 向川真太郎
 今日,自分が技術者をめざすものでありながら,怠りがちな英語の学習の在り方について疑問を抱いていた。高専に入学してから6年が経ち,1年次から積み重ねてきた単語や文法の知識で試験等をクリアしてきてはいるが,未だ英語に関しての学習意欲が満足いくものではなかった。なにかしら受け身であったと思う。
 そんなときに徳田皇毅先生の「理工系学生のための分かりやすい技術英文テクニカル・ライティングセミナー」という講義に参加させて頂いた。内容は,我々理工系の学生が今後必要とする「これだけは押さえておきたい」と言われている英文法,構文,表現等の技術英文ライティングに関するものであった。基礎文法の学習,和文英訳演習,プレゼン・アブストラクトの英語ライティング演習の3つのセッションからなり,丸一日,英語に浸かった。
 講義の中で,今まであまり意識することがなかったことにスポットが当てられる。名詞の前に置く冠詞について,定冠詞か,不定冠詞か,または冠詞無しかという問題である。それは日本語にはないが,英語にはある文法要素で,感覚的に理解しなければならないことであった。徳田先生は「デコーダーはコンピュータが理解できるようにその信号を処理する」という例文を使って分かりやすく説明して下さり,その場では多少なりとも理解することができた。私にとってそれ以上によかったことが,冠詞について深く知ろうと興味をもつきっかけとなったことである。家に帰りテキストを開き,今日教わった例文と比較しながら理解を深めた。もっと早い時期からこういったことに気がつけばよいと思った。
 「英語はチャンスを摑むツールです。」と表紙に大きく書かれた徳田先生著の本にはこう述べてある。「言語と貨幣の流通度は比例する」と。つまり,世界の経済が米ドル中心に動く間は,英語(アメリカ英語)が世界の共通言語であり続けるということであり,社会において,国際間で競争を強いられることになる今後,技術者たちにいかに英語が必要であるかということである。そう言われると,これから費やす英語の時間がとても貴重なものであると感じる。そして今まで費やした英語の時間が,受動的で,自発的なものでなかったのではないかと気がつく。
 英語は楽しい,と思うことは重要なことだ。だが,そう思うことは簡単ではない。人それぞれではあると思うが,私の場合は,英単語,文法を暗記するといった行為が,退屈であると思うことがよくある。テストで点数を取るための勉強はしてきたが,テストが終わるたびにすぐ忘れる。それは目的意識が薄いものだからである。しかし,今回の講義を通してなぜ英語を勉強するのか考えることができた。資格試験などを定期的に受けて,モチベーションを保つことも良い方法であるが,その先にある英語学習の目的を明確にすることが一番の効果をもたらす。そういった英語に対する「学び」について教えて頂くことができ,徳田先生には深く感謝している。
「テクニカル・ライティングセミナーを受講してみて」
機能材料工学専攻2年 松井あきえ
 我が高専で技術英文を読み書きするためのコツや力を身につけるには,授業だけでは足りない。さらに,学年が上がるにつれ英語の授業自体も減っていくので,英語を学ぶには結構酷な環境だ。英語に触れるたびに私はそう感じていたが,そんな中,今回のセミナーは自分が自主的に習得してきたものを試すいい機会だったと思う。
 一日で基礎から本格的な演習までをこなすという日程には,集中力持続などの問題から強行日程に感じた学生もいたのではないだろうか。私もセミナー終了後は完全燃焼といった具合だったが,今思えば正直物足りない。少人数制であんなにも講師の徳田先生とのやりとりがしやすく,分かりやすい授業だったので,日頃から定期的に受講していれば格段に能力が上がるだろう。そう考えると,“一日だけか”と今でも残念に思う。
 セミナーの中で私が特に嬉しかったのは,文法や構文の丁寧な説明はもちろんだが,単語のもつ微妙なニュアンスについて豆知識的に話しながら授業を進めていただいたことだ。日本に生まれて日本に育った純日本人である以上,英単語に含まれる微妙なニュアンスは分かるはずもない。だから間違っていようがいまいが,意味を調べて一致したら何となく単語を並べていく。日本人が英文を触ろうとすると,きっとこれが普通の流れだろう。私もこうなりがちだ。しかし最近は,一つの日本語にいくつかの英単語がヒットした場合,逆の場合も同様に,数冊の辞書を読み比べるなどして,自分なりに単語同士の微妙なニュアンスの違いを考えながら英文を読み書きするようにしていた。この気の遠くなるような作業をいつもできるとは限らない。また最終的にはただの自己解釈に帰結してしまい,自信がない。このようなジレンマと日頃葛藤していた私としては,豆知識程度でもそれを授業でやってくださるというのは非常にありがたかった。自分の間違った解釈は修正できたし,正しい解釈に関しては時間をかけてやったことが無駄じゃなかったと自信をもつことができた。これが私にとっては一番の収穫だったと思う。
 もう一つ挙げるとすれば,文法的にも構文的にも正しいが,自分が何となく感覚的に選択して英語を組み立てることがあると気づけたことが良かった。「どうしてこうなるのか。」との徳田先生の問いかけに対し,「何となく。」と思わず言ってしまった自分がいたので,基礎を思い出す意味でも確認する作業をしていこうと思う。個人的には徳田先生にアブストラクトを絶賛していただき,また今後の自分の英語への向き合い方など相談にも乗っていただいて,とても有意義な時間だった。少人数制でなくなるのは惜しい気もするが,今後このようなセミナーがあるのなら,より多くの学生が参加することを願っている。
2009.11.13