世界に学び地域に還す,ものづくり環境教育 〜多文化共生・持続的社会の実現に向けた技術者の使命を学ぶための〜

富山工業高等専門学校と富山商船高等専門学校は、
2009年10月1日に高度化再編し、富山高等専門学校が誕生しました。

ロボットカーを使ったものづくりESDの実践(英国北アイルランド)

1.概要
 平成21年6月16日(火),英国北アイルランドのバリークレア中高等学校と本校射水キャンパスをTV会議システムで結び,両国の学生に同時に,環境教育用教材「ロボットカー」による実験に取り組ませた。この試みは,異なる環境下に生活する学生が異文化理解と協働学習を同時に行う授業体系の構築をめざしたものである。
2.目的
ロボットカーでの実験風景/TV会議システムによる実験

 富山高等専門学校ESD企画グループでは,日本と海外の教育機関を結び,環境教育用教材を用いて,異なる社会背景や異なる文化を持つ学生に共通の課題に取り組ませ,その結果について討論を行わせるカリキュラムを模索している。今回の実践は,学生に,お互いの考え方の差異と共通点を認識させることで相互理解を行わせつつ問題解決をはからせる授業体系の構築を目指して,その有効性や問題点を抽出することを目的としている。
3.内容
 バリークレア中高等学校にロボットカーの競技コースを設置し,ロボットカーを用いた実験を行わせた。実験ではTV会議システムを使用して,以下の学生に同時に参加させた。
英国北アイルランド バリークレア中高等学校 本校射水キャンパス
実施時間 現地時間11:00〜12:00 19:00〜20:00
参加者: 2学年(中学校2年相当)6名 4学年(高校1年相当)6名 専攻科制御情報システム工学専攻2年5名
 バリークレア中高等学校の参加者を4チームにわけ,専攻科生で1チームとして,1時間の中で,ロボットカーの基本操作の説明を行ったのち,決められた距離をなるべく少ないエネルギーで走行するプログラムの作成に取り組ませ,それぞれのプログラムを相互に評価させた。
4. 総括(振り返って)
 北アイルランドのバリークレア中高等学校の参加生徒は,主として「テクノロジー(技術)」の授業の選択者であった。バリークレア中高等学校の授業担当者によれば,導入時の課題としてアトラクティブな教材があれば非常に有効であるとのことであった。今回,特に,中学相当の生徒が興味をもって取り組んでくれた。また,日本側の学生も海外の学生との交流には刺激があると感じたようであり,今後,課題を通した交流活動を展開することは,双方の学生に有益であると感じた。
 一方で,時間的な問題が明らかになった。ロボットカーのプログラム方法および操作方法を理解するためには,10分程度あればよいが,ロボットカーの動作の基本特性を理解するためには,数時間の段階的な実習プログラムが必要と考えられる。今回は,時間的な制約から,1時間の前半でロボットカーの説明,後半で課題へのトライアルを行わせた。そのため,北アイルランド側と日本側での学生の意見交換の時間を十分にとることができなかった。今後,双方が意見を交換しながら課題をすすめ,可能であれば,北アイルランドと日本の学生が混成チームをつくって問題に対処できるようなカリキュラムの開発を行っていきたい。
 また,協働学習を実施する上で,時差の問題についての対応も必要である。北アイルランドと日本の時差は,冬期には-9時間,夏期には-8時間である。今回は英国と日本で同時に開催することを試みたが,北アイルランドの授業時間を優先したため,日本では19時からスタートすることとなった。そのため,日本の対象学生が専攻科生に限定されてしまった。今後,継続的に取り組みを続けていくためには,相応の配慮が必要であり,一部には、双方の取り組みの様子をビデオに収めて交換するなど、時差を埋める手段の導入も検討すべきである。
2009.6.16