世界に学び地域に還す,ものづくり環境教育 〜多文化共生・持続的社会の実現に向けた技術者の使命を学ぶための〜

富山工業高等専門学校と富山商船高等専門学校は、
2009年10月1日に高度化再編し、富山高等専門学校が誕生しました。

砂漠化最前線の地で技術を考えるエコツアー(中国内モンゴル自治区)

富山商船高専・富山高専の学生が,砂漠化の最前線の地で持続可能性について考える
ESDエコツアーの引率に関する継続可能性および方向性を検討するために,視察を行った。
担当
伊藤通子(富山工業高等専門学校)
技術者のためのESDエコツアーの構築
2008内モンゴルエコツアーマップ
 内モンゴル(中華人民共和国 内モンゴル自治区)のナイマンでは,不適な耕作や地下水の過剰使用などの「持続不可能な開発」が続けられてきた。その結果,大地の砂漠化が進み,黄砂が増え,その被害は中国国内のみならず,韓国や日本にも及んでいる。こうした状況の改善には,ひとつは,内モンゴルの住民自身がこれまでの「開発」の誤りに気づき,それに替わる「持続可能な開発」の考え方や方法を自ら見出し実践すること,もうひとつは,内モンゴルの人々が持続可能な開発の道を切り拓いていくために,科学技術を学ぶ私たちに何ができるかを考えることであると考える。
 高専でのこれからの環境教育には,世界中の誰もが伝統文化を守りながら生活の質を落とさずに環境負荷の少ない生き方ができることを支援するような新しい技術開発の視点が望まれている。そこで,地球規模で進んでいる環境破壊「砂漠化」の最前線を訪ね,現代社会が抱えるさまざまな社会問題を知り,世界の多様な文化の人々とともに取り組もうとする心を育てるために,このエコツアーを企画した。エコツアー実施にあたり,YKK株式会社,NPO法人エコ・コミュニケーションセンター(ECOM),中国社会教育団体(NPO)「大地の子環境保護センター」のご協力をいただいた。
エコツアーの教育効果と評価
 参加した学生は,4年生2名(男・女),5年生1名(女),専攻科2年生(男)の4名である。事後研修での振り返りでは,体験や感じたこと,学んだことをまとめ,発表用のスライド資料を作成した。
 学生らは,環境破壊とは,民族問題や経済格差問題などが絡み合い複合的な問題として表面化したものであることに気づき,その解決には,対処療法ではなく歴史や文化や住民の誇り・尊厳を失わない社会開発が必要であり,技術開発には文化的相互理解が重要であることを学んだと発表した。
エコツアーの教育効果と評価
 たった1週間のツアーであったが,学生たちはこちらの期待をはるかに超える感受性でもって体験したことや出会った人々の言葉を受け止めていた。また,事後研修では,感じたことを共有しまとめ,自分たちの生き方に落とし込んで考えた。しかしながら,地球規模の問題が自分の生活と密接につながっていることを実感する機会が少なかったこと,エンジニアとしての視点の育成が不十分だったと思われる。今後は,事前研修および事後研修の内容・方法を検討したい。
日程
8/18(月)
富山→大連 到着後市内視察
≪宿泊:大連のホテル≫
8/19(火)
大連→奈曼
・YKK工場見学…中国における日本企業の環境対策について
≪宿泊:奈曼のホテル≫
8/20(水)
奈曼/フフロト湿地草原
・林場・・・砂漠化の現状と国際的な影響,対策技術について
・砂漠化進行の現状視察,砂漠化と闘う村の人々との交流
≪宿泊:農家で民泊≫
8/21(木)
・世界には英語が母国語である国や公用語として使っている国があることを知る。
・英語での挨拶を実践する。
8/22(金)
・内モンゴルの遊牧民文化の体験…料理等の生活体験
・環境問題に取り組む現地の方々との意見交換会
≪宿泊:観光牧場のゲル≫
8/23(土)
西湖・砂漠化研究所・・・砂漠化の現場にて砂漠化対策技術の視察
奈曼第五中学校・・・環境教育への取り組みを視察・体験・意見交換会
砂漠化防止に取り組むNPOとの交流会
≪宿泊:奈曼のホテル≫
8/24(日)
奈曼→大連
≪宿泊:大連のホテル≫
8/25(月)
大連→富山
エコプロダクツ展にポスターを出展
 エコプロダクツ展に、ポスターを作成した学生が参加し、来場者に自分たちが学んだことを説明した。
 CSR活動として植林事業を実施している企業の方々が、興味関心をもって立ち寄ることが多く、学生にとってはいろいろなバックボーンをもった方々と活発な意見交換をする機会となっていた。
2009.6.5