世界に学び地域に還す,ものづくり環境教育 〜多文化共生・持続的社会の実現に向けた技術者の使命を学ぶための〜

富山工業高等専門学校と富山商船高等専門学校は、
2009年10月1日に高度化再編し、富山高等専門学校が誕生しました。

海外視察:中華人民共和国 大連、内モンゴル自治区

日時
2008年8月18日(月)~8月25日(月)
訪問先
大連YKK株式会社
国菅奈曼旗 芳隆沼机械林場、フフロト湿原
固日班花(ゴルバンファ)観光牧場、植林地、砂漠化進行地域
奈曼第五中学校、西湖、奈曼砂漠化研究所
訪問者
栂 伸司(富山商船高等専門学校 准教授)
坂本佳紀(富山工業高等専門学校 准教授)
伊藤通子(富山工業高等専門学校 技術専門職員)
富山商船高専・富山高専の学生が、沙漠化の最前線の地で持続可能性について考えるESDエコツアーの引率に関する継続可能性および方向性を検討するために、視察を行った。
大連YKK株式会社
訪問日:平成20年8月19日(火)午前
応対者:大連YKK AP社 総経理 金岡芳孝氏、AP社 副総経理 米屋年将氏、ジッパー社 工場長 製造部長 浅野慎一氏、鈴木氏、有田氏、ジッパー社 管理部 長谷川創氏、その他2名 
YKK大連工場の概略説明の後、企業としての環境対策の説明をジッパー社と建材社の両社よりしていただき、その後ジッパー社の工場見学、最後に質疑応答を行った。
YKKグループは、ファスニング事業と建材事業、工機事業の3事業グループによるグローバル事業経営を展開し、世界の約70カ国/地域で事業活動を行っている。事業活動が環境に与える影響は地球規模のものとなっていることを認識し、環境問題を経営の最重要課題のひとつと捉え、1994年9月に『YKKグループ環境憲章』を制定し、グループ全社を挙げて環境対策に取り組んでいる。
この地球で事業を営む上でメーカーの責任として、事業活動のすべての分野において、商品の設計から製造・廃棄・回収・リサイクルに至るまでのあらゆる段階で環境課題を認識し、環境政策の執行と環境マネージメント監査を徹底しながら、グローバルな環境経営を推進している。
国菅奈曼旗 芳隆沼机械林場、フフロト湿原
訪問日:平成20年8月20日(水)
応対者:林場の職員、ドライバーの方々 

今回のツアーの案内役である中国社会教育団体「大地の子」代表のチンゲル氏より、中国政府による植林の現状を説明してもらい、鉄塔に登って緑化の進行度を見学した。その後、林場職員の運転によるジープおよび徒歩により植林地とフフロト湿原の見学を行った。フフロト湿原は、昨年に比べるとかなり砂漠化が進んでおりその場所を特定するのに時間がかかった。少しだけ湿地帯が残っていたが予定していた自然観察をできるほどではなく、期せずして植林と砂漠化の進行のせめぎ合いの現場を見ることとなった。
夕刻、農村部へ移動。この農村はモンゴル族の村で、過去に中国政府から砂漠化防止のため放牧や遊牧を禁止されたことに対して、自分たちの伝統ある生活様式を守ろうと運動したことがある村だということである。
放牧や遊牧を禁止され、定住して農耕をしている農家の2軒に宿泊させていただき、モンゴル族の家庭料理のもてなしを受け、近所の方々や休暇で帰省中の学生たちと交流した。
固日班花(ゴルバンファ)観光牧場
訪問日:平成20年8月21日(木)
応対者:徳木日東氏とそのご家族、18歳から22歳までの学生10数名 

奈曼からおよそ45km、車で1時間30分ほど離れた固日班花へ移動。雨天のため、予定していたゲルの設置体験はできず、室内で学生同士の交流を行った。自己紹介の後、3チームに分かれロボットカーを使った最適走行についての競争を行った。この実験を文化の違いが体感できるような学習プログラムとしていくには、さらなる内容の検討が必要だが、異なる国の学生同士が熱心に協力し合って実行できる学習プログラムになり得ることの確認ができた。
夜は、チンゲルさんからホルチン砂漠の一部である奈曼旗の砂漠化の経緯や政府の取組み、住民の取り組みなどについて話を伺い、意見交換した。学生たちは大変興味をもって熱心に耳を傾け、活発な意見交換を行った。
固日班花(ゴルバンファ)観光牧場、植林地、砂漠化進行地域
訪問日:平成20年8月22日(金)
応対者:徳木日東氏とそのご家族、18歳から22歳までの学生10数名 
モデル農場席包力高(シボリゴ)家への訪問が先方の都合により中止となったため、固日班花(ゴルバンファ)でもう1泊することとなった。徳木日東氏より植林活動の体験談を伺った後、乗馬や餃子つくりなどの文化体験、植林の現場視察、砂漠化進行地域の視察などを、モンゴル族の学生たちの協力を得ながら行った。その途中で、2時間半にわたり、学生同士の活発な意見交換を行うことができた。
奈曼第五中学校
訪問日:平成20年8月23日(土)
応対者:校長、環境教育担当の先生
奈曼第五中学校は、生徒数約1,000名、教員約100名の規模で、モンゴル族の子どもたちの学校である。ほとんどの生徒が周辺地域の農村部出身のため寮生活をしている。オリンピックのため例年より遅い始業で、訪問当日は生徒の入寮日前日で、大変忙しい中を対応していただいた。校長室で中学校の概略説明の後、施設の見学と環境教育に関する説明を受けた。9月からの環境教育には、政府の教科書と、日本(JICAやECOM)の援助で作成した地域特有の環境教育プログラムや教科書を組み合わせて使うようである。
枯渇した西湖
訪問日:平成20年8月23日(土)
奈曼の中心部から車で15分、琵琶湖ほどの大きさをもつ西湖は、2001年にすべての水が乾あがってしまい、現在では広大な草原と化している状況を見学。かつては、水生動植物が生息し美しいリゾート地として多くの観光客で賑わった場所だった痕跡として、荒れ果てた公園や使われなくなったホテルやレストランが廃墟となって残されていた。
枯渇の原因は、湖に流れ込んでいた河川水を上流で農業用に使用したためであると説明を受けた。
奈曼砂漠化研究所
応対者:研究員の方
奈曼の中心部から車で20分、政府の砂漠化対策として、砂漠の土壌分析や適正植物の研究をはじめ科学的な立場から砂漠化と戦っている状況を見学。砂漠化の原因については、人口増加と不適切な農耕だというモンゴル族からの説明に対し、研究所では過放牧を一番に挙げていたのが印象的だった。また、研究所では、ここ10年くらいで植林が成功しており砂漠は減少しているという見解だったが、モンゴル族は、住民の現金収入や子孫に残す環境という観点から、植林の樹種や方法に疑問を感じているようであった。
2008.8.25