2011-12年度 科研費活動報告

科学研究費補助金(若手B)課題番号:23710019

「デジタル化変色反応を基軸とする途上国対応型地下水汚染物質のオンサイト計測法の開発」(2011~2012年度)

概要

 本研究では、途上国における地下水汚染問題となるフッ素、ヒ素に関して誰でも明確に濃度を判定できる目視計測法の開発を目的に研究期間内に以下の3点の内容を目指します。

   ① 各種比色分析の変色をデジタル化した反応系の構築・解析
   ② 変色数による目視計測法の開発
   ③ 途上国におけるオンサイト計測法としての分析性能の評価

研究背景

 発展途上国における環境問題の一つに、これらの国において共通して多数報告されている飲用の地下水のフッ素、ヒ素による汚染があり、これらの物質の汚染度を把握することが求められております。しかしながら、資金、装置、知識・技術が非常に限られることから、先進国の分析技術をそのまま導入することが極めて困難な問題があり、これらの国では、オンサイトで行える分析技術の開発が重要な鍵となります。これまで、現場分析法として比色法などが開発されているが、色の濃淡で濃度を測定するため、分析結果が測定者の色覚の強弱に依存することから分析値の信頼性の問題が残されておりました。

研究内容

 研究内容の概要を図1に示します。濃度に応じて色調が変化する通常の変色反応においてある種の阻害反応を組込むことで、ある濃度の閾値を境に急激に変色する反応系(デジタル化変色反応)が構築することができます。この構築した反応系試薬濃度を変化させて添加したマイクロプレート上において、列単位で試料を加えると、試料濃度に応じて変色するマイクロプレートのウェル数が変化することから、変色数による濃度判定法を構築します。さらに、構築した手法を途上国の現地における分析性能を評価します。


図1 研究内容の概要

主な取組み・活動

・2013-4-25日本化学会第93春季年会における発表が優秀講演賞に選定されました(詳細はこちら)
・2013-3-23日本化学会第93春季年会(立命館大学)にて発表を行いました。
・2nd International Symposium on WATER QUALITY AND HUMAN HEALTH: CHALLENGES AHEAD(スリランカ, ペラデニア大学)にて発表を行いました。
・2012-11-17第12回高山フォーラム(高山市図書館)にて発表を行い、最優秀賞を受賞しました。
・2012-9-26Society of Environmental Toxicology and Chemistry Asia Pacific 2012(熊本市)にて発表を行いました。
・2012-9-24,25 島根大学の笹井研究室にて共同の実験を行いました。
・2012-9-19日本分析化学会第61年会年会(金沢大学)にて発表を行いました。
・2012-9-4,5福島大学と第3回分析化学合同セミナー(宇奈月)を行いました。
・2012-9-1第31回分析化学中部夏季セミナー(信州大学)にて発表を行い、優秀賞を受賞しました。
・7.2-4. Analytical Research Forum 2012(イギリスダラム大学)にて発表を行いました。
・特許庁より,「目視濃度定量法および反応容器」が特許として認定されました。 (特許5024540号)
・6.21筑波大学との共同でサディキリセ、アリアナリセリセにて(チュニジア)に実験授業を行いました。
・2012NEW環境展(東京ビッグサイト)に出展しました。
・日本化学会第90年会(慶應義塾大学)にて発表を行いました。
・International Symposium on WATER Quality AND HUMAN HEALTH:CHALLENGING AHEAD(スリランカ)にて発表を行いました。
・第11回高山フォーラム(高山市図書館)にて発表を行い、優秀賞を受賞しました。
・イノベーションジャパン2011(東京)にて出展および新技術説明会における発表を行いました。
・日本分析化学会第60年会(名古屋大学)にて研究成果を発表しました。
・福島大学との第2回分析化学合同セミナーを (富山)を行いました。
・第3回資源・環境対応セラミックス材料/技術研究討論会 (名古屋) にて招待講演を行いました。
・12th Conference of the European Ceramics Society (Stockholm) にて研究成果を発表しました。
・2011 NEW 環境展(東京ビックサイト) にブースを出展しました。

成果

 通常の比色法の連続的な変色が急激な変色を示す変色反応を確認することができました(図2)。また、この変色反応を用いることで、変色数による目視分析も可能でありました(図3)。また、チュニジアの高校生による本分析法の性能を評価した結果(図4)、溶液反応を用いることから、操作の簡易性や国内外における可搬性に課題があることが分かりました。これらの課題を解決するため、今後は分析法の固相化を検討したいと考えております。



図2 変色反応のON/OFF化


図3 変色数による目視分析法





図4 チュニジアの高校での実験

研究業績

<<査読付論文>>
・間中淳、五十嵐淑郎、感度と簡易化の向上を目指すマイクロプレート濃度計測法の開発、分析化学(掲載決定、印刷中) 依頼論文
・間中淳,澤井光,佐藤祐, 五十嵐淑郎, オン・オフ型目視‐マイクロプレート法を用いる水道水中残留塩素の定量, 分析化学, 61 777-782 (2012).
・A.Manaka,G.Yamazaki, T.Kawakami, M.Tafu and S.Igarashi,Effect of Addition of Aluminum Ion For Colour Reaction of Lanthanum Alizarin Complexone and Application to Visual Analysis of Fluoride ion, 2 nd International Symposium on WATER QUALITY AND HUMAN HEALTH: CHALLENGES AHEAD, (University of Peradeniya, Sri Lanka) 2013.3.16 p40 (査読付プロシーディング)

<<総説等>>
・間中淳, 強酸性水溶液中で働く金属イオンの固相抽出剤, ぶんせき(トッピクス) 2013.p45.
・間中淳, 微小な固相反応場を用いた分析技術, ぶんせき(トッピクス) 2012, p107.
・間中淳,五十嵐淑郎,数をかぞえて濃度を知る新しい環境モニタリング技術-eye-Mip法-,「OHM」5月号 HEADLINE Review Energy & Environmental Technology, p2-3 (2011)

<<国際学会>>
・A.Manaka,G.Yamazaki, T.Kawakami, M.Tafu and S.Igarashi,Effect of Addition of Aluminum Ion For Colour Reaction of Lanthanum Alizarin Complexone and Application to Visual Analysis of Fluoride ion, 2 nd International Symposium on WATER QUALITY AND HUMAN HEALTH: CHALLENGES AHEAD, (University of Peradeniya, Sri Lanka) 2013.3.16
・A.Manaka,G.Yamazaki, S.Igarashi,Visual analysis for fluoride based on binary color reaction with Lanthanum alizarin complexone and Aluminium ion, International Forum on Ecotechnology (Takaoka city) 2012.12.16
・Atsushi Manaka, Kazuya Tamura, Kohmei Harajiri, Shukuro Igarashi,Immobilization of color reaction with lanthanum alizarin complex for On-Off Type Visual Determination for Fluoride, ciety of Environmental Toxicology and Chemistry Asia Pacific 2012 (Kumamoto)
・A.Manaka,G.Yamazaki, S.Igarashi, Examination of Two Color discrimination Reaction for Visual Fluoride Determination, Analytical Research Forum 2012(Durham University,U.K) 2012.7.2-4
・A.Manaka, S.Igarashi, Examination for a binary color reaction for the visual analysis for fluoride, International Symposium on WATER Quality AND HUMAN HEALTH:CHALLENGING AHEAD (Sri Lanka) 2012.3.23

<<招待講演>>
・間中淳、五十嵐淑郎、二値化した変色反応に基づく明確な濃度の「見える化」技術,第3回資源・環境対応セラミックス材料/技術研究討論会(名古屋)2011.6.29

<<受賞>>
・間中淳、山崎元太郎、五十嵐淑郎、アルミニウムイオン/アルフッソン系ON/OFF化変色反応に基づくフッ化物イオンの簡易分析法の開発、日本化学会第93春季年会(立命館大学)2013.3.23 優秀講演賞受賞
・山崎元太郎、間中淳、アルミニウムイオンによるアルフッソン比色反応のON/OFF化とフッ化物イオンの目視分析への応用, 第12回高山フォーラム(高山市図書館)2012.11.16 最優秀賞受賞
・大村真璃、間中淳、ヨウ素滴定を利用した亜ヒ酸イオンの高視認性目視計測法に関する検討, 第11回高山フォーラム(高山市図書館)2011.11.12 優秀賞
・間中 淳・澤井光・五十嵐 淑郎,デジタル化変色反応を用いる目視計測法の開発, 日本分析化学会第60年会(名古屋大学)2011.9.14 ロングディスカッション講演

<<特許>>
・間中淳、五十嵐淑郎、目視濃度定量法および反応容器, 特許5024540号(2012.6.29)

<<写真>>



高山フォーラムでの受賞風景

関係各所様


本研究を遂行するにあたり、ご助言・ご助力頂きありがとうございました。

・日本学術振興会
・茨城大学 工学部 生体分子機能工学科 五十嵐研究室
・福島大学 共生システム理工学類 高貝研究室
・筑波大学 北アフリカ研究センター(ARENA)
・富山県立大学 川上研究室
・島根大学 総合理工学部 物質科学科 笹井研究室
・富山高等専門学校エコテクノロジー研究室
・独立行政法人産業技術総合研究所 仙台青葉サイト(東北サテライト)
・日本分析化学会
・日本化学会
・茨城県工業技術センター
・株式会社ニチビ
・パーキンエルマージャパン