研究概要

“誰が見ても一目で分かる見やすい目視分析法の開発”を目的に研究をしています。その一例として、最近開発した “目視-マイクロプレート法(Eye-MiP法)”について説明します。

目視-マイクロプレート法(Eye-MiP法)

図に示すように臨床分析で用いられるマイクロプレートの各列において、あらかじめ、様々な濃度の反応試薬を加えておき、列単位で試料溶液を加えると、その濃度に応じて変色する数が変化します。このマイクロプレートの各列で変色した数を数えることで、濃度を測ることが可能となります。

目視-マイクロプレート法

メリット

1. 分析結果に個人差がない
従来の目視分析法は、色の濃淡で濃度を判定する比色法が主流でしたが、人間の眼は色の濃淡を具体的な数値で測ることができないため、分析結果に個人差がありました。しかし、目視-マイクロプレート法は数を数えるため、“誰が行っても同じ結果が得られる”目視分析が可能となります。

2. 色覚に異常があっても扱える
また、比色法は色覚に異常がある人には扱いづらい手法でしたが、本法は色覚に依存しない分析法であるため、“色覚バリアフリー型”の目視分析法でもあります。

3. 経済性・携帯性に長けている
小さなプレート上でマイクロリットルレベルの試薬・試料量を使用するため、低コスト、かつ、様々な現場での迅速な分析が可能です。

4. 様々な物質を測定できる
各列において試薬濃度を変化させて加えるだけで分析法が成立するため、数多くの変色反応を用いることができます。そのため、様々な物質の濃度の測定が可能となります。

これら4つの特徴から本分析法は“人と地球にやさしい分析技術”と言えます。

実際の実験

(例1)
目視-マイクロプレート法による水の硬度の測定例を図に示します。



(例2)
ヨウ素・でんぷん反応を利用したビタミンCの分析です。



本分析法は、試薬と試料の混ぜ方を工夫しただけであるため、特殊な試薬・反応のみならず、教科書に載っているポピュラーな変色反応まで使用することが可能です。このように、化学とは身近なものでさえも、工夫次第で様々な可能性を秘めている分野です。これからも、化学の可能性を分析化学の分野から追いかけていきたいと思います。